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ひとが詩人になるとき
¥2,090
著者:平川克美 発行元:ミツイパブリッシング 268ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 詩を書くことで、ひとは詩人になる—— 言葉が蹂躙される時代に放つ、極私的詩人論。詩人に憧れながら実業家として半生を歩んだ著者が、幾度となく読み返してきた作品を再考察。なぜ、彼ら彼女らは詩人になったのか、その謎に迫る。「言葉が鍛えられる場所」シリーズ、待望の第3弾。 【目次】 第1章 堀川正美 新鮮で苦しみ多い日々 第2章 黒田三郎 場違いな場所で途方に暮れているひと 第3章 茨木のり子 彼女がひとりで立っていた場所 第4章 小池昌代 欠如という存在感 第5章 黒田喜夫と「列島」の詩人たち 革命の知らせはついに届かず 第6章 友部正人 倫理的な吟遊詩人 第7章 清水哲男と清水昶 際立つ個性が描いた双曲線 第8章 北村太郎 敗者の直喩 第9章 下丸子文化集団 工場の町に生まれた詩 第10章 小田嶋隆 誰よりも詩を憎んだ男が愛した詩 第11章 伊藤比呂美 現代の言文一致 第12章 鶴見俊輔 この世界を生き延びるための言葉 第13章 寺山修司 虚構が現実を越える瞬間に賭ける 第14章 石垣りん 生活者の芯 第15章 吉本隆明と立原道造 硬質な抒情の前線 第16章 批評的な言葉たち 言葉の重奏性をめぐって
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鉄道文学傑作選(中公文庫)
¥990
編者:関川夏央 発行元:中央公論新社 344ページ 文庫判 148mm × 105mm *********************** 出版社紹介文より *********************** ◆鉄道×文学。文学に現れた「鉄道風景」を読み解く。 漱石、啄木、芥川、賢治、荷風、百閒、そして、宮脇俊三、藤沢周平……。明治の鉄道開設以来今日まで、鉄道と文学は深く結びついてきた。風景描写、心理描写、舞台装置、トリックなど、さまざまな作品を豊かに彩り、多くの名作を生み出した(川端康成『雪国』、松本清張『点と線』など)。 本書では、鉄道が文学に及ぼしたただならぬ影響を、小説・随筆・詩歌・日記とバラエティに富む名作を通して読み解いてゆく。編者の関川夏央氏が、作品ごとに、解説を付し、全体を通して、「日本の近代」を形作った装置としての鉄道、その文学への影響・表れを浮き彫りにする。 【目次】 夏目漱石「三四郎(抄)」 石川啄木「一握の砂」より 志賀直哉「網走まで」 森田草平「煤煙(抄)」 芥川龍之介「舞踏会」 宮沢賢治「春と修羅」より 萩原朔太郎「旅上」ほか 横光利一「旅愁(抄)」 中野重治「機関車」ほか 山田風太郎「応召記(抄)」 永井荷風「断腸亭日乗 昭和二十年八月」より 上林曉「鄙の長路」 内田百閒「区間阿房列車(抄)」 藤沢周平「陸羽東線」 吉村昭「電車、列車のこと」 荒川洋治「鉄の幸福」
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寺田寅彦「線香花火」「金米糖」を読む
¥2,530
著者:松下貢/早川美徳/井上智博/川島禎子 発行元:窮理舎 192ページ 195mm × 145mm ハードカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 「ねえ君、不思議だと思いませんか」。雪の研究で知られる中谷宇吉郎がまだ学生だった頃、寺田寅彦がそう問いかけた火花の複雑な分岐模様。そして、自身がペンネームにするほど愛着のあった金米糖の角(つの)の成長。 本書は、寺田寅彦の代表的な随筆である「線香花火」と「金米糖」を通して、それらの科学研究が寅彦の時代から現代にかけてどのように受け継がれ、歴史的に解明されてきたかを専門的な立場からそれぞれ解説します。同時に、寅彦のそうした着眼点が時代にいかに先駆けていたかを、複雑系科学の立場から総合的に俯瞰します。また、これらの小品が収められた「備忘録」という随筆全体を通した、寅彦の当時の内面や背景についても文学的観点から捉えていきます。 線香花火の燃焼に火花の音楽を味わい、金米糖の生成に生命の起原と営為を透かし見た寺田寅彦。そこには、当時愛読していたローマの詩人哲学者ルクレティウスや、師・夏目漱石の存在が見え隠れします。口絵にはその関係がうかがえる貴重な資料写真や、線香花火と金米糖の実験写真も収載。門下の中谷宇吉郎と福島浩による線香花火と金米糖の解説記事も付録に添え、彼らが寅彦と取り組んだ当時の研究風景も紹介します。 寺田研究室の出発点であり、寺田物理学の真骨頂ともいえる、近代西洋の後追いでない日本ならではの科学研究の醍醐味を、本書を通して味わってみてください。 【目次】 ●まえがき ●備忘録(仰臥漫録/夏/涼味/向日葵/線香花火/金米糖/風呂の流し/調律師/芥川龍之介君/過去帳/猫の死/舞踊)(吉村冬彦)/(注釈:細川光洋監修) ●寺田寅彦の科学に見られる先見性(松下貢) ●金米糖の研究をめぐって(早川美徳) ●線香花火の不思議と研究について(井上智博) ●寺田寅彦「備忘録」に見る未来への胚子(川島禎子) ●付録 金米糖 Konpeitô(寺田寅彦) 金平糖(福島浩) 科学物語 線香花火のひみつ(中谷宇吉郎) 線香花火(中谷宇吉郎) ●寺田寅彦 略年譜(川島禎子監修)
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寺田寅彦「藤の実」を読む
¥2,200
SOLD OUT
著者:山田功/松下貢/工藤洋/川島禎子 発行元:窮理舎 132ページ 195mm × 145mm ハードカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** ある日、寺田家の庭で起きた藤の実の一斉爆発、同じように上野の清水堂で遭遇した銀杏の一斉落葉、そして同時期に起きた娘の怪我や家族の事故…。 随筆「藤の実」は、これら一連の出来事を通して、寺田寅彦が物事の偶発する「潮時」について考察をめぐらした短い作品です。 本書では、この名品を物理学、植物学、文学(俳諧論)のそれぞれの立場から現代的な視点で読み直し、その本質を問い直します。関連付録には、寅彦門下 平田森三が書いた入門記事のほか、随筆の背景がわかる同時期の寅彦作品(スケッチ入り)も数篇収録。寅彦日記や書簡から読み解いた詳しい注釈も付け、口絵では、著者の一人が実際に藤の実の射出実験をした記録写真や、寅彦の論文草稿、メモの写真も紹介します。 「藤の実」では、流感の流行や地震の群発、山火事の多重発生、その他、事件事故の多発など、「縁起が良くない」だけでは説明のつかない様々な出来事についても寅彦流の鋭い視線が注がれます。偶然と必然の間に潜むものとは何か、本書は、物事の「潮時」に切り込んだ寺田物理学のエッセンスと寅彦の自然観に迫ります。本随筆は国語教科書にも載った寅彦作品です。 【目次】 ●まえがき ●藤の実(吉村冬彦)/(注釈:細川光洋監修) ●寺田寅彦の「藤の実」を読む(山田 功) ●「藤の実」によせて:偶然と必然のはざま(松下 貢) ●植物生態学からみた「藤の実」(工藤 洋) ●寺田寅彦「藤の実」に見る自然観(川島禎子) ●付録 十五メートルも種子を射出す藤の莢の不思議な仕掛(平田森三) 破片(抄)(吉村冬彦) 雪子の日記(寺田寅彦) 鎖骨(吉村冬彦) ●寺田寅彦 略年譜(川島禎子監修)
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WORKSIGHT ワークサイト 21号
¥1,980
編者:WORKSIGHT編集部 発行元:コクヨ株式会社 販売元:学芸出版社 128ページ(カラー32ページ) 224mm × 152mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 社会のありようを異なる方法で示す言葉たち 韓国現代詩シーン第一人者へのインタビュー、ノーベル文学賞に輝いた詩聖・タゴールが愛したベンガル滞在記、ハンセン病療養所の詩人たちを巡る新作詩と随筆、銀行員詩人だった石垣りんから考える生活詩、建築家が語る詩集のデザイン、ことばの哲学者・古田徹也の思案。詩のことばが、社会のありようを異なる方法で指し示す。 【目次】 巻頭言 詩を失った世界に希望はやってこない 文=山下正太郎(本誌編集長) 花も星も、沈みゆく船も、人ひとりの苦痛も 韓国詩壇の第一人者、チン・ウニョンが語る「詩の力」 ソウル、詩の生態系の現場より ユ・ヒギョンによる韓国現代詩ガイド そこがことばの国だから 韓国カルチャーはなぜ詩が好きなのか 語り手=原田里美 ベンガルに降る雨、土地の歌 佐々木美佳 詩聖タゴールをめぐるスケッチ 「言葉」という言葉も 大崎清夏 詩と随筆 ふたつの生活詩 石垣りんと吉岡実のことば 文=畑中章宏 紙の詩学 建築家・詩人、浅野言朗から見た詩集 詩人は翻訳する・編集する・読解する ことばと世界を探究する77冊 しっくりくることばを探して 古田徹也との対話・ウィトゲンシュタインと詩の理解
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寺山修司の遺産 21世紀のいま読み直す
¥2,970
著者:伊藤徹 発行元:堀之内出版 280ページ 188mm × 127mm ハードカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 寺山がこの世を去ってから40年── 社会状況は大きく変化してきたが、寺山が残したものは、いまもなお読み直され、多くの読者・観客を惹きつけている。 現代の問題意識と深くつながる、寺山の多岐にわたる活動に対して、思想、競馬、言語学、美術、デザイン、演劇、映像、政治をテーマに、各分野の筆者陣がそれぞれの問題意識で挑み、新たな魅力を発掘する画期的な論集。 【目次】 はじめに 伊藤 徹 第1章|演劇Ⅰ 虚構が「真実」になるとき――密室劇《阿片戦争》 伊藤 徹 第1節 実験演劇としての密室劇 第2節 《阿片戦争》という出来事 第3節 虚構の「真実」と「時」 第2章|言 葉 居場所としての言葉――寺山修司の自分語と詩的表現 澤田美恵子 第1節 定型詩との出会い 第2節 「自分語」という戦術 第3節 詩的表現の時空間 インタビュー 寺山修司と演劇・詩・方言・競馬 佐々木英明 第3章|映 像 機械仕掛けの巫女殺し――「政治の季節」のテレビドキュメンタリーをめぐって 青山太郎 第1節 成長期にあった六〇年代のテレビと寺山修司 第2節 「政治の季節」に生まれ育ったテレビドキュメンタリー 第3節 秩序を破る記録映像の力能 第3節 機械仕掛けの巫女を解体する 第5節 お茶の間という神殿 第4章|政 治 寺山修司の「幸福」の政治学 荻野 雄 第1節 選挙と競馬と電子計算機 第2節 偶然の賜物としての幸福 第3節 幸福への賭けとしての政治的反抗 第4節 寺山修司と新左翼運動の諸局面 第5章|競 馬 寺山修司と競馬 檜垣立哉 第1節 寺山修司における競馬 第2節 寺山のエクリチュール――生とともにある競馬 第3節 寺山の言葉・言葉の場所 第6章|デザイン 初期の天井棧敷のポスターを読む――劇との関係を中心に 前川志織 第1節 初期の天井棧敷のポスターを読む 第2節 初期の天井棧敷とポスター 第3節 初期の天井棧敷のポスターを読む――劇との関係から 第4節 初期天井棧敷のポスターを読む――大衆的図像の引用 コラム あなたはいったい誰ですか? 広瀬有紀 第7章|演劇Ⅱ 小劇場運動と「肉体」――寺山修司をめぐる文化的野心とともに 若林雅哉 第1節 寺山修司を宙づりにしてみる 第2節 小劇場運動における肉体への回帰――芸(肉体)と演技(内容)の二極から 第3節 レッテル張りへの躊躇(1)――巨大劇団の忌避と〈異議申し立ての時代〉 第4節 レッテル張りへの躊躇(2)――「肉体」の覇権の諸相 第5節 あとから来た「小劇場運動」――蜷川幸雄による「歴史化」の戦略と文化的野心 第6節 事後の生 第8章|表 現 ナンセンスの時代と寺山修司 平芳幸浩 第1節 寺山修司と「無意味」 第2節 六〇年代前衛における表現の様態 第3節 無意味から意味へ 第4節 言語遊戯としてのハナモゲラ 第5節 寺山修司にとってのナンセンス おわりに 檜垣立哉
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氷室冴子とその時代 増補版
¥2,640
SOLD OUT
著者:嵯峨景子 発行元:河出書房新社 400ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 80~90年代、少女小説を中心に活躍し、再評価の機運も高まる作家・氷室冴子。少女小説研究の第一人者が丹念な調査と取材から、その全貌に迫る。作家や編集者に追加取材を行い増補刊行! 少女小説の革新、「女性作家」としての活躍と葛藤、新たなジャンルへの挑戦―― 80~90年代、エンタメ小説の最前線で戦い続けた。 いま、最も再評価すべき作家の全貌に迫る。 『クララ白書』『雑居時代』『なぎさボーイ』『なんて素敵にジャパネスク』などの少女小説、ジブリアニメにもなった青春小説『海がきこえる』、エッセイ『いっぱしの女』『冴子の母娘草』などで絶大な支持を得、今も人気女性作家たちがその影響を公言する作家・氷室冴子(1957-2008)。少女小説研究の第一人者が丹念な資料調査と取材から、その功績と志に迫る。若木未生氏、桑原水菜氏や各社担当編集者のインタビューを増補。未完の傑作『銀の海 金の大地』第二部についての証言も収録! 【目次】 はじめに 第1章 氷室冴子以前――文学と少女マンガの揺籃期 幼年期の少女マンガ体験 文学少女としての目覚め 藤女子大学進学と女子校文化との出会い 碓井小恵子時代の創作 「モギ店ハンジョー記」と「少女マンガの可能性」 第2章 作家デビューから『クララ白書』まで 『小説ジュニア』とジュニア小説の歴史 新人賞への応募と佳作受賞 デビュー作「さようならアルルカン」 『小説ジュニア』にみる氷室冴子最初期作品 『さようならアルルカン』と『白い少女たち』 実家からの独立 『クララ白書』──少女たちの解放区 『クララ白書』と少女マンガ 雑誌『宝島』の書評 第3章 マンガ原作の仕事と初連載『雑居時代』 演劇を少女マンガのモチーフに 『ライジング!』の連載 宝塚への移住とファン活動 バウホールを描くこと 藤田和子との共同作業 『小説ジュニア』の初連載『雑居時代』 『雑居時代』人気と倉橋数子というキャラクター 第4章 一九八三年・八四年にみる多様な作品群 『恋する女たち』──ガールズトークのリアリティ 『ざ・ちぇんじ!』──少女小説としての「改変」 『シンデレラ迷宮』──少女の目覚めと心の王国 『蕨ヶ丘物語』──ローカルコメディの世界 『少女小説家は死なない!』──パロディにしのばせた少女小説の多様性 『古事記』への関心と『ヤマトタケル』 第5章 『なんて素敵にジャパネスク』と少女小説ブーム 結婚をめぐる対立から生まれた『なんて素敵にジャパネスク』 『なんて素敵にジャパネスク』シリーズの構成 初夜から東宮廃位問題へ 氷室冴子人気と『ジャパネスク』受容 少女小説ブームと氷室冴子 同時代における氷室冴子評価 少女小説マーケットの拡大 第6章 男の子の行方――氷室冴子の少年主人公小説 『なぎさボーイ』シリーズと複数視点の描写 クリエイターにみる氷室冴子作品の影響 『北里マドンナ』──「少女」から離れて 氷室冴子の仕事道具 『冬のディーン 夏のナタリー』──プレ『海がきこえる』としての模索 第7章 少女小説から離れて――エッセイと一般小説の仕事 氷室冴子、東京へ エッセイと一般小説の連載状況 氷室冴子の一般小説 氷室冴子と直木賞 『ターン──三番目に好き』──大人の恋愛小説への挑戦 『いもうと物語』──幼年期の祝福 初エッセイ集『冴子の東京物語』 『プレイバックへようこそ』──過去への視線と世代の相対化 出版業界のなかの「女」──氷室冴子とフェミニズム 『いっぱしの女』──「女」にまつわるエッセイ集 『冴子の母娘草』──母と娘の闘い 家庭小説の復刊──「角川文庫マイディアストーリー」とブックエッセイ 『ホンの幸せ』──書物へのまなざし 第8章 イメージから生まれた物語――『海がきこえる』 高知との出会い 『海がきこえる』のストーリー 情景の見える文体へ 『海がきこえる』と挿絵の世界 『海がきこえる』のヴァリアント 『アニメージュ』連載版『海がきこえる』 『涼宮ハルヒ』シリーズのなかの『海がきこえる』 アニメーション版『海がきこえる』 続編『海がきこえるⅡ──アイがあるから』 第9章 古代への情熱――『銀の海 金の大地』 九〇年代とファンタジーの潮流 『銀の海 金の大地』連載まで 『銀の海 金の大地』の世界 挿絵と古代の文化 『銀の海 金の大地』にみる古代の風俗描写 少女小説の限界へ──『銀金』にみるヴァイオレンス描写 まぼろしの「佐保彦の章」 第10章 氷室冴子は終わらない――九〇年代後半以降から 旧作のアップデート 『クララ白書』のリメイク 新装版『なんて素敵にジャパネスク』 大人の恋愛小説執筆をめぐる模索 休筆期のこと──氷室冴子の二〇〇〇年代 コバルトという場所 作家としての再始動──「月の輝く夜に」の加筆をめぐって 闘病期 氷室冴子の死とメディア報道 氷室冴子受容の「断絶」 継承へ向けて 氷室冴子作品復刊の動向 作家・氷室冴子像とその先の可能性──古典への志 物書きとしての苦悩 氷室冴子を未来へ繫ぐ おわりに 心に金の砂をもつ――氷室冴子と私 附録 氷室冴子 「少女マンガの可能性」 氷室冴子略年譜 著者
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上野千鶴子がもっと文学を社会学する
¥1,870
SOLD OUT
著者:上野千鶴子 発行元:朝日新聞出版 296ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 著者の生き延びるための読み解き術にかかると、何より面白く痛快で、世の中のカラクリがわかる。凡百のグルメ本を超えた最強のフェミ本、春画研究での江戸のセクシュアリテイ、林真理子や川上未映子の小説から「介護」と「出産」、男のフェミニズムなどを題材に、読んで役立つ分析力に唸る快著。 【目次】 1 家族はどこからどこへ 食を切り口にした鮮やかな戦後女性史/どぶろくと女への二千年の愛と怒り ほか 2 女はどう生きるのか 女ひとり寿司は最後の秘境/喪失のあとに おひとりさまになってから ほか 3 男はどう生きるのか なぜ魔女のキキは一三歳なのか?/モテたい男のカン違い ほか 4 文学と社会学のあいだ 東アジア儒教圏の負け犬たち/母性賛美の罠 父の不在と母の過剰 ほか 5 色と恋 春画はひとりで観るもんじゃない/夜這いを実践した民俗学者 ほか 6 老いと介護 老い方に「技法」はあるか/「息子介護」に学ぶもうひとつの男性学 ほか 7 思いを受け継ぐ てっちゃんはNPOの先駆者だった/京おんなは稀代のネットワーカー ほか
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文学は予言する(新潮選書)
¥1,760
SOLD OUT
著者:鴻巣友季子 発行元:新潮社 300ページ 191mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** トランプ政権誕生で再びブームとなったディストピア小説、ギリシャ神話から18世紀の「少女小説」まで共通する性加害の構造、英語一強主義を揺るがす最新の翻訳論――カズオ・イシグロ、アトウッドから村田沙耶香、多和田葉子まで、危機の時代を映し出す世界文学の最前線を、数々の名作を手がける翻訳家が読み解く。 【目次】 はじめに 第一章 ディストピア 1 抑圧された世界――ディストピア小説のいま 2 『侍女の物語』の描く危機は三十五年かけて発見された 3 大きな読みの転換――『侍女の物語』と『密やかな結晶』 4 拡張する「人間」の先に――ポストヒューマニズムとAI小説 5 成功物語の限界――メリトクラシー(能力成果主義)という暗黒郷 6 もはやリアリズムとなったディストピア 第二章 ウーマンフッド 1 舌を抜かれる女たち 2 男性の名声の陰で 3 シスターフッドのいま 4 雄々しい少女たちの冒険 5 からだとケア労働 6 文学における女性たちの声 第三章 他者 1 原作者と翻訳者の無視できないパワーバランス 2 パンデミックの世界に響く詩の言葉 3 リーダーの雄弁術 4 盛りあがる古典の語り直し 5 ますます翻訳される世界――異言語と他者性のいま 6 多言語の谷間に――多和田葉子 7 日本語の来た道――奥泉光 8 小説、この最も甚だしい錯覚 9 アテンション・エコノミーからの脱却――それは他者と出会うこと おわりに 主要参考文献一覧 索引
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優雅な生活が最高の復讐である
¥2,200
SOLD OUT
著者:カルヴィン・トムキンズ 訳者:青山南 発行元:田畑書店 248ページ 156mm × 113mm ハードカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 1920年代のフランスに信じ難いほど素敵な生活を営むアメリカ人夫婦がいた。 ジェラルド・マーフィとサラ、二人はパリからアンティーブへ生活の舞台を移し、近郊に住むアーティストや作家、たとえばピカソ、レジェ、コール・ポーター、ヘミングウェイ、フィッツジェラルドとゼルダ夫妻など時代を画する才能をもてなし、その創作活動に多大な影響を与えた。そしてマーフィ自身も画家だった。活動期間はたった8年間であったが、わずかな、しかし素晴らしい作品がMoMAに遺されている。 本書はこのマーフィ夫妻の生活を見事に掬い上げ、ノンフィクションの分野に金字塔を立てたカルヴィン・トムキンズのテキストに、70点近くの家族アルバムとジェラルドの絵画を加えた。 雑誌「ニューヨーカー」初出から60年を経て放つ歴史的名著の決定版!
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書かれる手(講談社文芸文庫)
¥1,925
著者:堀江敏幸 発行元:講談社 302ページ 文庫判 148mm × 105mm 敬愛する作家たちを描く、著者の原点となる散文集。 *********************** 出版社紹介文より *********************** デビュー作となったユルスナール論に始まる十数年の思索の軌跡。 須賀敦子、長谷川四郎、島尾敏雄、山川方夫……、 「言葉と言葉、他者と他者とのあいだをすり抜けていくか細い線への、 つまり本質に触れそうで触れない漸近線への憧憬を失わない書き手」として私淑する十二名の作家の物語。
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歴史小説の懐(講談社+α文庫)
¥1,650
著者:山室 恭子 発行元:講談社 472ページ 文庫判 148mm × 105mm ~出版社紹介文より~ なぜ、わたしたちは、「鬼平」や「竜馬がゆく」の世界に、かくも魅入られてしまうのだろうか? 日本歴史学界きっての「歴史小説・時代小説読み」が、池波・司馬作品をはじめとする名作の数々の世界に潜りこみ、テキストとその背景を徹底的に読み尽くす。山室教授の名調子に誘われると、あの『大菩薩峠』も、楽しくするする読破できちゃう?! 【目次】 半七捕物帳/富士に立つ影/鞍馬天狗/宮本武蔵/顎十郎捕物帳/戦艦大和ノ最期/新・平家物語/平将門/樅の木は残った/眠狂四郎無頼控/柳生武芸帳/甲賀忍法帖/竜馬がゆく/国盗り物語/用心棒日月抄/鬼平犯科帳/剣客商売/真田太平記/日出処の天子/影武者徳川家康 ◎大菩薩峠の七不思議 ◎御宿かわせみの建築学
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狂伝 佐藤泰志 無垢と修羅
¥4,180
著者:中澤雄大 発行元:中央公論新社 608ページ 193mm × 135mm ハードカバー ~出版社紹介文より~ 『きみの鳥はうたえる』『海炭市叙景』『草の響き』……芥川賞候補5回、41歳で自死した作家の全作品と膨大な手紙を読解、「1968年」からバブル期の文学状況と世相、作家の抱えた修羅に圧巻の取材で肉薄した、渾身の書き下ろし1500枚
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文士の時代(中公文庫)
¥1,430
SOLD OUT
著者:林忠彦 発行元:中央公論新社 400ページ 文庫判 148mm × 105mm ~出版社紹介文より~ 紫煙のなかの太宰治、織田作之助、坂口安吾。そして川端康成、谷崎潤一郎、三島由紀夫ら文豪たちの素顔をとらえた写真集がよみがえる。 〈解説〉林 義勝
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小川洋子のつくり方
¥2,420
編者:田畑書店編集部 発行元:田畑書店 248ページ 200mm × 148mm ソフトカバー ~出版社紹介文より~ 世界に認められる小川洋子の文学はどのようにつくられてきたか――全米図書賞、ブッカー賞国際部門など世界的に権威のある賞の最終候補に軒並み上がる小川洋子の文学。 海外での小川文学の受容のされ方から、デビューから三十年以上にわたる創作の秘密と、その全貌を紹介する。 また、巻頭には昨年8月にニューヨーク・タイムズ誌に掲載されたエッセイ、ヒロシマ・ナガサキ、オリンピックなど今の日本にとって重要なテーマを名文で描いた「死者の声を運ぶ小舟」を原文+英語訳で収録する。 【目次】 第1章 死者の声を運ぶ小舟 死者の声を運ぶ小舟 小川洋子 How We Retain the Memory of Japan’s Atomic Bombings:Books (Written by Yoko Ogawa / Translated by Stephen Snyder ) 第2章 世界は小川洋子の文学をどう受容したか 世界のジャーナリズムが注目した小川洋子の文学 田畑書店編集部 海外で出版された小川洋子の作品たち 第3章 フランス語圏の小川洋子 ブリュッセル (en Passa Porta) パリ (en La Maison de la Poesie) トゥルーズ (en Librairie Ombres Blanches) 第4章 インタヴューズ 有限な盤上に広がる無限の宇宙〈インタヴュアー〉 堀江敏幸 なにかがあった。いまはない。〈インタヴュアー〉 千野帽子 第5章 小川洋子のつくり方 小説の生まれる場所 (於: 関西大学) 小説の不思議 (於: 大阪文学学校) 私が新人作家だった頃 (於: 大阪芸術大学) 第6章 全作品解説 神田法子 あとがき 小川洋子
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のどがかわいた
¥1,430
SOLD OUT
著者:大阿久佳乃 発行元:岬書店 158ページ 176mm × 120mm ソフトカバー(仮フランス装) *********************** 店主コメント *********************** 著者が高校生の時に発行したフリーペーパー『詩ぃちゃん』に掲載した詩の魅力を伝える文章。そして、日々の生活で生まれる自身の感情を繊細な感性で思索するエッセイを収めた1冊です。 これまで読むことが少なかった詩との距離が、本書をとおしてだいぶ近づいたような気がします。「小説は共感・詩は一体感」という言葉が深く印象に残りました。 ちなみに発行元の「岬書店」は、夏葉社という出版社の出版レーベル。 ずっと本棚に残しておきたい本を作り続けるひとり出版社です。
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佐藤泰志をさがして
¥2,200
著者:成田清文 発行元:言視舎 192ページ 188mm × 128mm ソフトカバー ~出版社紹介文より~ 注目の作家を追う 佐藤泰志は「幻の作家」だった。 立松和平や村上春樹と同世代、89年までに芥川賞5回、三島賞にもノミネートされながらも、90年自死。いつしか忘れられた存在になっていた。 ところが2007年、作品集刊行=再デビューとともにブレイク。4作が映画の原作となり高い評価を受ける。この秋にも5作目『草の響き』が公開予定。 復活までの過程を追い、なぜ忘れられ、なぜ復活したのかを探る。 (※上記解説は発刊当時2021年時点の内容は映画は公開済みです。) 【目次】 序章 自死の波紋 第一章 遅すぎた出会い 1 1993年6月 2『大きなハードルと小さなハードル』 3『移動動物園』と『黄金の服』 4『そこのみにて光輝く』 5『海炭市叙景』 第二章 おいたちから死まで 1高校時代まで 2「初期作品」の時代(70‐80) 3最後の10年間(81-90) 第三章 再発見・再評価から映画化へ 1 ついに「きみの鳥はうたえる」に出会う 2『佐藤泰志作品集』刊行 3 映画『海炭市叙景』 4 映画『そこのみにて光輝く』 5『佐藤泰志映画祭』の開催 6 映画『オーバー・フェンス』 7 映画『きみの鳥はうたえる』 第四章 とりあえずの結語 1なぜ、佐藤泰志は忘れられたのか? 2なぜ、佐藤泰志は再発見(再評価)されたのか?
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新版 宮澤賢治 愛のうた
¥1,980
著者:澤口たまみ 出版社:夕書房 248ページ 194mm × 138mm ~出版社紹介文より~ 賢治には、恋人がいたーー! 知られざるラブ・ストーリーを作品と証言から大胆に読み解く、異色の文芸エッセイ。 ------- 生涯独身で、その恋心は妹や親友に向けられたと解釈されることの多い聖人・宮澤賢治。しかし彼には相思相愛の女性がいました。 お互い結婚を考えながらも叶うことのなかった悲しい恋。本書はその顛末を、『春と修羅』をはじめとする詩の数々に封じこめられた切実な恋心を読み解きながら、明らかにしていきます。 誰もが知る詩「永訣の朝」や童話「やまなし」「銀河鉄道の夜」などに隠された苦しい恋の片鱗に気づくとき、これまでとは違う「人間・宮澤賢治」が、生き生きと立ち現れてきます。 岩手の自然と風土を知り尽くすエッセイストが、約100年の時を越えて開封する、胸がしめつけられるほど切なく美しい、愛の物語です。
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漱石全集を買った日
¥1,430
SOLD OUT
著者:山本善行 清水裕也 出版社:夏葉社 210ページ 172mm × 105mm ******************** 店主コメント ******************** 京都で「古書善行堂」を営む山本善行さんと、そこにお客として通う清水裕也さんの4回にわたる対談を収めた本です。 古本談義というと部外者を寄せ付けないようなディープ過ぎる世界をイメージしがち。 しかし、本書は清水さんが古本を買い始めるようになった頃から語られており、特定の単語や固有名詞には脚注も付されているので、古本に興味を持ち始めた方にも楽しんで読んで頂けます。 古参の古本好きも初心を思い出すうえで必読の書ではないかと思います、ぜひ!
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師 太宰治
¥1,922
著者:田中英光 出版社:津軽書房 203ページ 四六判 ソフトカバー 同人雑誌に発表した作品が太宰の目に留まり、以後太宰に師事することになったのは田中英光が22歳の時。その後『オリムポスの果実』で文学賞を受賞し文壇に登場しました。 太宰が入水自殺した翌年に、田中は太宰の墓前で自ら命を絶ったことはご存じの方も多いと思います。 すでに他界していた太宰と織田作に倣い、銀座にあったBAR「ルパン」で写真家・林忠彦に写真を撮ってもらったのは墓前で命を絶つ数日前のことでした。 そんな彼の目に太宰はどのように映っていたのでしょうか。
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風貌 ー 太宰治のこと ー
¥1,980
SOLD OUT
著者:小山清 出版社:津軽書房 193ページ 194mm × 134mm ハードカバー 1940年小山清は29歳の時に太宰治に師事。 戦後、太宰が入水自殺を遂げると本格的な作家生活へとはいりました。 本書は師・太宰に関わる文章に加え、井伏鱒二について書かれた文章も収められています。 その清らかな文章が文学ファンからも定評のある小山清が回想する師の面影。 小山清の本は『風の便り』もございます。 こちらは近年夏葉社より刊行された随筆集になっております。
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須賀敦子の手紙 1975―1997年 友人への55通
¥3,135
著書:須賀敦子 出版社:つるとはな 248ページ 215mm × 155mm ハードカバー ~出版社紹介文より~ 須賀敦子は1967年に夫ペッピーノを失い、70年に父を、72年に母を失った。帰国してまもない須賀は、深まる孤独のなかで生涯の友人と出会う。 その友情はやがて、四半世紀にわたりつづくものとなっていった。 こころを許した友人への手紙には、須賀の迷いや悩みが率直につづられている。 ときにはさりげなく、恋の終わりが打ち明けられることもあった。 55通の手紙を、青インクの筆跡もリアルな高精度カラー写真で掲載。