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密航のち洗濯 ときどき作家
¥1,980
著者:宋恵媛 /望月優大 写真:田川基成 発行元:柏書房 336ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 1946年夏。朝鮮から日本へ、 男は「密航」で海を渡った。 日本人から朝鮮人へ、 女は裕福な家を捨てて男と結婚した。 貧しい二人はやがて洗濯屋をはじめる。 ----------------------------------------- 朝鮮と日本の間の海を合法的に渡ることがほぼ不可能だった時代。それでも生きていくために船に乗った人々の移動は「密航」と呼ばれた。 1946年夏。一人の男が日本へ「密航」した。彼が生きた植民地期の朝鮮と日本、戦後の東京でつくった家族一人ひとりの人生をたどる。手がかりにしたのは、「その後」を知る子どもたちへのインタビューと、わずかに残された文書群。 「きさまなんかにおれの気持がわかるもんか」 「あなただってわたしの気持はわかりません。わたしは祖国をすてて、あなたをえらんだ女です。朝鮮人の妻として誇りをもって生きたいのです」 植民地、警察、戦争、占領、移動、国籍、戸籍、収容、病、貧困、労働、福祉、ジェンダー、あるいは、誰かが「書くこと」と「書けること」について。 この複雑な、だが決して例外的ではなかった五人の家族が、この国で生きてきた。 蔚山(ウルサン)、釜山、山口、東京―― ゆかりの土地を歩きながら、100年を超える歴史を丹念に描き出していく。ウェブマガジン『ニッポン複雑紀行』初の書籍化企画。 【目次】 プロローグ 密航 1946 関釜のあいだの海/蔚山からの密航船/K村の警防団/下関での感染拡大/仙崎港の朝鮮人たち/1946年のコレラ禍 第1章 植民地の子ども 1 朝鮮 1911‐24 鯨のまち長生浦/方魚津の日本人町/蔚山の市街地/江陽里の老人たち/対馬の先へ/植民地都市釜山 2 日本 1924‐44 関東大震災後の横浜で/東京で短歌に出会う/15年後の帰郷/ふたたび江陽里にて/東京に戻る/結婚と徴用 3 朝鮮 1944‐46 朝鮮に逃げる/妻との旅(1)東京から釜山へ/妻との旅(2)釜山から兼二浦へ/1945年8月15日/妻との旅(3)38度線南下/帝国崩壊後の釜山/妻との旅(4)日山津から日本へ 送還 1946 失敗した密航/ひと月遅れのコレラ猖獗/仙崎、佐世保、博多のコレラ船/針尾収容所から大村収容所へ 第2章 洗濯屋の家族 1 尹紫遠 ユン ジャウォン 密航のち、18年の人生/自分ひとりの部屋/多摩川を泳いで渡る/故郷の戦争、弟の虐殺/横浜の検閲生活/売血もできない/米兵と黒人兵/洗濯屋のぬかるみ/ときどき作家/テープレコーダー 2 大津登志子 おおつ としこ 満洲から38度線へ/朝鮮人との結婚/日本人と朝鮮人のあいだで/夫の日記と広島の教会 3 泰玄 テヒョン たいげん Money, money, money/中目黒の外国人たち/朝鮮学校の頃/夜間学校と祖国訪問団/国籍と永住の葛藤/三菱重工爆破と朴正煕暗殺 4 逸己 いつこ イルギ 歴史を準備する人/女性でロボット屋で/混乱する国籍/差別と暴力と/少数者の痕跡 エピローグ 補遺 密航の時代 註 参考文献
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時刻表昭和史 完全版(中公文庫)
¥1,100
著者:宮脇俊三 発行元:中央公論新社 368ページ 文庫判 148mm × 105mm *********************** 出版社紹介文より *********************** 昭和二〇年八月一五日正午という、予告された歴史的時刻を無視して、日本の汽車は時刻表通りに走っていたのである(本文より)。昭和八年、ハチ公がいた渋谷駅、一六年、「不急不要」の旅が禁じられた中学生の夏、そして二〇年八月、駅で聞いた玉音放送――歴史の節目はいつも鉄道とともにあった。関連エッセイ、北杜夫との対談を増補した完全版。 【目次】 第1章 山手線――昭和8年 第2章 特急「燕」「富士」「櫻」――昭和9年 第3章 急行5列車下関行――昭和10年 第4章 不定期231列車横浜港行――昭和12年 第5章 急行701列車新潟行――昭和2年 第6章 御殿場線907列車――昭和4年 第7章 急行601列車信越本線経由大阪行――昭和16年 第8章 急行1列車稚内桟橋行――昭和17年 第9章 第1種急行1列車博多行――昭和19年 第10章 上越線701列車――昭和19年 第11章 809列車熱海行――昭和20年 第12章 上越線723列車―一昭和20年 第13章 米坂線109列車――昭和20年 増補(戦後篇) はじめに 第14章 上越線708列車――昭和20年9月 第15章 弘前駅、一ノ関駅――昭和20年秋 第16章 熱海にて――昭和21年 第17章 松江へ――昭和22年8月 第18章 東北本線103列車――昭和23年4月 増補版・あとがき 巻末付録 古い時刻表を読む 自作再見『時刻表昭和史』 それぞれの汽車旅 北 杜夫/宮脇俊三 時刻表昭和史関連年譜
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十大事故から読み解く 山岳遭難の傷痕(ヤマケイ文庫)
¥1,210
SOLD OUT
著者:羽根田 治 発行元:山と渓谷社 416ページ 文庫判 148mm × 105mm *********************** 出版社紹介文より *********************** 山岳遭難史に内包された「影」の部分に光を当てる。 木曽駒の学校集団登山や愛知大学山岳部の冬山合宿、西穂独標の高校生落雷事故、立山の中高年初心者事故、そしてトムラウシ山のツアー登山の遭難など、戦前から現代まで10件の重大事故を検証。 時代を反映した日本の山岳遭難事故を時系列で振り返る、貴重な記録の集大成。 近代登山の黎明期から、遭難事故は、登山が本来内包しているであろう危機管理の点からも、避けがたいものとして存在してきた。 なかでも多数の死者を出した大量遭難や、その時代背景を反映して話題となった歴史的な遭難事故も数多くある。 すでに遠い過去のものとなりつつある遭難事故もあるが、過去の事故を丹念に発掘し、再度、検証することも重要だろう。 本書は、そうした戦前から最近の事故までを概観した読みもので、次の10章で構成される。 1章1913年の「聖職の碑」木曽駒ヶ岳集団登山事故、2章1930年の東京帝大の剱沢小屋雪崩事故、3章1954年の富士山吉田大沢の大量雪崩事故、4章1955年のナイロンザイル切断事故、5章1960年の谷川岳一ノ倉沢宙吊り事故、6章1963年の薬師岳愛知大学大量遭難事故、7章1967年の西穂高岳落雷遭難事故、8章1989年の立山での中高年大量遭難事故、9章1994年の吾妻連峰スキー遭難事故、10章2009年のトムラウシ山ガイド登山遭難事故。 時系列で上の10件の遭難事故を振り返るが、学生の大量遭難や落雷事故、中高年初心者の事故やガイド登山の事故など、時代を反映したもを特に取り上げた。 日本の山岳遭難の歴史を振り返ったものとして貴重な記録である。 【目次】 第1章 木曾駒ヶ岳の学校集団登山事故 第2章 剱澤小屋の雪崩事故 第3章 冬の富士山巨大雪崩事故 第4章 前穂東壁のナイロンザイル切断事故 第5章 谷川岳の宙吊り事故 第6章 愛知大学山岳部の大量遭難事故 第7章 西穂独標の学校登山落雷事故 第8章 立山の中高年初心者遭難事故 第9章 吾妻連峰のスキーツアー遭難事故 第10章 トムラウシ山のツアー登山遭難事故 文庫あとがき 解説 『山岳遭難の傷痕』からの連想(菊地俊朗)
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ヒグマとの戦い(ヤマケイ文庫)
¥990
SOLD OUT
著者:西村 武重 発行元:山と渓谷社 240ページ 文庫判 148mm × 105mm *********************** 出版社紹介文より *********************** 大正から昭和にかけて猟銃を携え北海道の原野を駆けめぐった、ある狩人の若き日の冒険譚! 狩猟の隠れた名著を未公開写真も収録して文庫で復刊。 100年前の祖父は山野を縦横無尽に駆け巡り、狩猟に釣り、温泉開発、鉱山発掘などフロンティアマンとしてその時代を生きていた。 100年前の根室原野を駆け巡った祖父の冒険談の楽しさが伝わると幸いです。 (「祖父・西村武重について/西村穣」より) 私の叔父(北海道石狩郡当別村)が狩猟家であったので、私の家(札幌郡篠路村)へ訪れると、大きなガンやカモ、ウサギなどをおみやげに時々持って来た。私は大人になったら狩人になろうと思った。 私は、明治四十四年より今日に至るまでほとんど一生を、未開の森林渓谷を探して、狩猟と釣りに費やしたようなもので、最早人生の終着駅にあり気息奄々たる老爺となってしまった。この本にあるものは大正から昭和にかけての若き時代の思い出の昔話である。 (「まえがき」より) 【目次】 ◆祖父・西村武重について 西村穣 ◆まえがき ◆ヒグマとの戦い その1 風連原野のヒグマ/牧場のギャング/茶内林野のヒグマ/養老牛のヒグマ/ケネカ川の大ヒグマ ◆カクレ原野とガンピ原 キネズミを追って/キツネに化かされたか?/カクレ原野の一夜/アマッポーとヒグマ/ヒグマとの死闘/篠路村の浪さん/ウサギの止め足/ キツネ狩り/再びキツネ狩り/ピヨッペの砂金山 ◆アイヌの狩猟 酋長榛幸太郎/さんけ爺々/老アイヌの昔話 ◆ヒグマとの戦い その2 千島エトロフ島のヒグマ/エトロフ島へ/指臼の硫黄山/ヒグマの襲来/硫黄鉱調査/東海岸を探る/再びヒグマが……/ ヒグマを倒す/紗那神社/美しい未亡人/島との別れ ◆尾岱沼と野付岬 野付半島のガン/カワウソと狂女 ◆養老牛温泉を中心として 原野移住/養老の滝/ヤマベ釣り/カムイヌプリの猛吹雪 ◆あとがき ◆解説 服部文祥
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日本人が移民だったころ
¥1,980
著者:寺尾紗穂 発行元:河出書房新社 200ページ 195mm × 135mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 日本はかつて国策として移民を推奨する「移民送り出し国」だった。沖縄からパラグアイまで開拓地をめぐり、戦争に翻弄された労働者たちの声を拾い集める、聞き書きルポルタージュの決定版。 【目次】 まえがき 父のいない戦後 札幌・平尾富士子さん 台風と格闘した開拓 種子島・中川博司さん 遊水地に拓いた未来 我孫子・玉根康徳さん PTSDを呼び起こされる戦後 那覇・上原和彦さん 死亡も補償も認められない 一六歳の兄の戦死 那覇・阿良光雄さん 靖国に祀られた母 札幌・野村武さん パラグアイからアルゼンチンへ 埼玉・鈴木光さん 除草剤入らなかったらつぶれてた パラグアイ・フラム 溝際孝市さん 二つの大和村を生きた夫 パラグアイ・エンカルナシオン 中村博子さん 移民の子が大使になった パラグアイ・フラム イサオ・タオカさん あとがき
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九月、東京の路上で 1923年関東大震災 ジェノサイドの残響
¥1,980
SOLD OUT
著者:加藤直樹 発行元:ころから 216ページ 198mm × 148mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 関東大震災の直後に響き渡る叫び声 ふたたびの五輪を前に繰り返されるヘイトスピーチ 1923年9月、ジェノサイドの街・東京を描き 現代に残響する忌まわしい声に抗う―― 路上から生まれた歴史ノンフィクション!
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日本習合論
¥1,980
著者:内田樹 発行元:ミシマ社 296ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 外来のものと土着のものが共生するとき、 もっとも日本人の創造性が発揮される。 どうして神仏習合という雑種文化は消えたのか? 共同体、民主主義、農業、宗教、働き方… その問題点と可能性を「習合」的に看破した、傑作書き下ろし。 壮大な知の扉を、さあ開こう。 【目次】 まえがき 第1章 動的な調和と粘ついた共感 第2章 習合というシステム 第3章 神仏分離と神仏習合 第4章 農業と習合 第5章 会社の生命力を取り戻す 第6章 仕事の概念を拡大する 第7章 日本的民主主義の可能性 第8章 習合と純化 あとがき
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戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌」(集英社文庫)
¥990
SOLD OUT
著者:斉藤光政 発行元:集英社 464ページ 文庫判 148mm × 105mm *********************** 出版社紹介文より *********************** すべてがインチキだ! 「東日流外三郡誌」の真贋論争の中心にいた青年記者がその真相を暴く── 立花隆氏、呉座勇一氏など各界著名人たちに注目された迫真のルポルタージュ! 青森県五所川原市にある一軒の農家の屋根裏から、膨大な数の古文書が発見された。当初は新たな古代文明の存在に熱狂する地元。ところが1992年の訴訟をきっかけに、その真偽を問う一大論争が巻き起こった。この「東日流外三郡誌」を巡る戦後最大の偽書事件を、東奥日報の一人の青年記者が綿密な取材を重ね、偽書である証拠を突き付けていく──。事件後見えてきた新たな考察を加えた迫真のルポ。
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新装版 苦海浄土(講談社)
¥836
SOLD OUT
著者:石牟礼道子 発行元:講談社 416ページ 文庫判 148mm × 128mm *********************** 出版社紹介文より *********************** 人の尊厳とは何か いまこそ心打つ<声>を聞いてください 文字が大きく読みやすくなった新装版 工場廃水の水銀が引き起こした文明の病・水俣病。この地に育った著者は、患者とその家族の苦しみを自らのものとして、壮絶かつ清冽(せいれつ)な記録を綴った。本作は、世に出て30数年を経たいまなお、極限状況にあっても輝きを失わない人間の尊厳を訴えてやまない。末永く読み継がれるべき<いのちの文学>の新装版。
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慟哭の谷(文春文庫)
¥737
著者:木村盛武 発行元:文藝春秋 224ぺージ 文庫判 148mm × 105mm *********************** 出版社紹介文より *********************** 1915年12月、北海道苫前村の開拓地に突如現れた巨大なヒグマは、一軒の民家に押し入り、阿部マユと預かり子の幹雄を惨殺。村人たちは恐怖に震えながらも、ヒグマ退治に乗り出すが、冬眠しそこねて〝穴持たず〟となり凶暴化したヒグマは、悪魔のような知恵を働かせて、村人たちを次々と牙にかけていくーー。 死者8名という世界的にみてもヒグマによる食害事件としては類をみない最悪の惨劇となった「三毛別(さんけべつ)事件」の全貌を、生存者たちへの貴重な証言をもとに描き出す戦慄のノンフィクション。文庫化にあたり、著者の『ヒグマそこが知りたい 理解と予防のための10章』より、著者自身のヒグマとの遭遇事件、さらに福岡大学ワンゲル部の日高山系におけるヒグマ襲撃事件、写真家・星野道夫氏の事件など別のヒグマによる食害事件を検証した二章を特別収録! *********************** 店主コメント *********************** 大正時代に北海道三毛別で発生したヒグマ襲撃事件です。 明治期に発生した同種の丘珠事件より被害が大きかったにもかかわらず、三毛別の惨劇は丘珠事件の陰に隠れ歴史に埋もれつつあったそうです。(その理由についての考察も本文に書かれています)事件の詳細を地道な取材により記録として残した著者の功績は大きいのではないでしょうか。そして、他の事件や著者のヒグマ遭遇体験にも戦慄を覚えます。 三毛別の事件はネット上でもネタとして散見されますが、本書からはクマの危険性を伝えようとする著者の真摯な気持ちがひしひしと伝わってきます。 情報として消費されるのではなく、教訓として後世まで読み継がれるべき本だと思います。
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蓑虫放浪
¥2,860
SOLD OUT
著者:望月昭秀 写真:田附勝 発行元:国書刊行会 288ページ 188mm × 149mm ソフトカバー ~出版社紹介文より~ 井浦新さん(俳優)推薦! 「シンパシーを感じる大先輩が100年以上前にいた!」 折り畳み式の家を背負って旅をした? 幕末に西郷隆盛を助けた? 勝海舟、山岡鉄舟とも知り合いだった? 亀ヶ岡で「あの」遮光器土偶を発掘した? 日本ではじめて「縄文展」を開いた? 明治時代のインフルエンサー? クラウドファンディングで竹の庵を建てた? 熱田神宮の境内に私設博物館をつくろうとした? 幕末から明治にかけて北は青森、南は鹿児島まで全国津々浦々を自由に旅した漂泊の画人。東に名所あると聞けば行って絵にし、西に遺跡あると聞けば行って掘り起こし。嘘か真か虚実ないまぜホラ吹き一代、天衣無縫の放浪人生。絵と書を好み縄文遺物の発掘まで手がけた風狂の人の足跡を明らかにする決定版評伝! 蓑虫的観光案内付 【目次】 序 年表 一、源吾 長母寺/蓑虫山人とはいったい誰なのか/蓑虫山人の絵日記/蓑虫山人になる前の物語/放浪者として、そして変人として 二、幕末 九州/源吾、蓑虫山人となる/絵日記・アット・USA/六十六庵設立の夢/もうひとつの絵日記/伊呂波川に歌碑を訪ねる/蓑虫のコラボレーション癖/蓑虫山人は西郷隆盛を救ったか 三、土偶 最初の東北/回遊する蓑虫山人/サブカルポップ仙人/蓑虫、岩木川を丸ごと描く/蓑虫、土偶に出会う/蓑虫山人と亀ヶ岡遺跡 四、変人 二度目の東北/山本家に残された手紙/蓑虫山人の「すべらない話」/蓑虫流民俗学/しょんべん事件/ある年の正月/インフルエンサーだった蓑虫/蓑虫が描かなかったこと 五、放浪 最後の東北/第三期東北漫遊/いまだ遠い六十六庵の夢/峠の向こうからオレ登場/麓家に残された絵/出立の日、旅の終わり、日本初の縄文展 六、美濃 故郷/里帰りの挨拶/無言の蓑虫/美濃に残された絵を見に行く/すべてを竹で作る/蓑虫の動く庵/長母寺 笈の記二〇二〇 あとがき 参考文献 蓑虫観光 九州編 耶馬渓/宮本武蔵の墓/東椎谷の滝/福貴野の滝/涅槃岩/唐八景/孝婦伊知の墓 東北・岐阜編 男鹿温泉郷/木曽川/達磨館/養老の滝/仙人峠/ 長良川鵜飼/鰺ヶ沢/十和田湖
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遊廓のストライキ
¥2,640
SOLD OUT
著者:山家 悠平 発行元:共和国 276ページ 188mm × 150mm ソフトカバー ~出版社紹介文より~ 逃げる! 戻らない!—— それが「活用」されることを拒んだ彼女たちの選択だった。 関東大震災からの復興を経て、モダニズムの時代として評価されることが多い、1920〜30年代。この時期に隆盛をきわめた労働争議と呼応するように、公娼制度下で「籠の鳥」と呼ばれた遊廓の女性たちが、自分の生と性を男社会から奪還するべく、立ち上がった——。青森、大阪、広島、佐賀、福岡など各地の史料をつぶさに読み込み、無名の女性たちの実像に肉薄する。近現代女性史の空白を埋める貴重な成果。 【目次】 はじめに 語られなかった歴史を語るということ 第1章芸妓・娼妓を取り巻く環境 遊廓の「近代」の始まり/廃娼運動の誕生/廃娼運動への批判的視座 第2章遊廓のなかの女性たち 閉ざされた門のなかで/識字率の上昇と情報の流入/遊廓を離れてから 第3章一九二六年の大転換 遊廓の改善という世論の高揚/新聞にあらわれる「娼妓」たち 第4章実力行使としての逃走 逃走の時代の幕開け/広島、弘前、ふたつの直接行動/逃走の時代のあとに 第5章逃走からストライキへ 凋落する遊廓/大阪、松島遊廓金宝来のストライキ/佐賀、武雄遊廓改盛楼のストライキ/遊廓のなかの女性たちが「求めたこと」 おわりに 「解放」と「労働」の境界で 註/参考文献/あとがき
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魂を撮ろう ユージン・スミスとアイリーンの水俣
¥2,090
著者:石井妙子 発行元:文藝春秋 360ページ 195mm × 138mm ハードカバー ~出版社紹介文より~ 伝説のフォトジャーナリスト最後の3年間。20歳の時、51歳のフォトジャーナリスト、ユージン・スミスと出会ったアイリーン・美緒子・スプレイグ。二人は、チッソの工場排水が引き起こす未曾有の公害に苦しむ水俣を目指した――。 取材開始から十年。近代化の傷と、再生を勝ち取った魂の闘いに迫る大河ノンフィクション。 <著者より> 水俣病が工場排水を原因とする公害であると国家に認定されたのは一九六八年、環境庁が公害対策を担うために発足したのは、一九七一年のことでした。 一九六四年には東京オリンピックが、一九七〇年には大阪万博が開催されましたが、都市部が華やかな国際イベントに沸く、その同じ時代に、水俣病、四日市ぜんそく、イタイイタイ病といった、公害に苦しむ人々の闘いがありました。 公害は高度経済成長のひずみである、と、よく言われます。ですが、「ひずみ」などではなく、高度経済成長の中に公害は内包されていた、公害を黙認することなくして高度経済成長は達成されなかった、そのように私は捉えました。 高度経済成長の日本を「奇跡の時代」として捉え、過去の栄光としてのみ記憶し、そこに日本社会の理想を求める限り、過ちはまた繰り返されるのではないか。私達が望む社会はどのようなものであるべきなのか。コロナ禍の中にオリンピック開催が強行された今こそ、見つめ直したい。 執筆中も現在も、「なぜ、今、水俣病なのか。過去の話ではないか」と問われることがあるのですが、これまでのような成長を頼りとする社会を是としていくのか、未来図を描くためにも、振り向くべき過去がある、そのような思いから本書を「今」、執筆しました。 <担当編集者より> 「女帝 小池百合子」で今年大宅賞受賞された石井さんの受賞後第一作。 深刻な内容ですが、高度経済成長の日本社会を体感しながらぐいぐいと物語に引き込まれていきます。 国も企業も、人命より利益優先。コロナ禍のいま、政府による無為無策のため、国民は国から棄てられようとしているという現実。人間の命の大切さを、心から祈るような気持ちでこのテーマに取り組んだ著者の熱い思いを感じてください。 【目次】 序 章 小さな声に導かれて 第一章 アイリーンの生い立ち 第二章 写真家ユージン・スミス 第三章 ニューヨークでの出会い 第四章 不知火の海 第五章 水俣のユージンとアイリーン第六章 写真は小さな声である 第七章 撮る者と撮られる者 終 章 魂のゆくえ
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MINAMATA
¥4,400
写真・著:W. ユージン・スミス / アイリーン・美緒子・スミス 訳者:中尾ハジメ 発行元:クレヴィス 208ページ 277mm × 225mm ハードカバー ~出版社紹介文より~ 自ら体験した「真実」を追い求め、ドキュメンタリー写真を芸術の域にまで高めた伝説の写真家W. ユージン・スミス。写真集『MINAMATA』は、写真史上最も偉大なフォト・ジャーナリストの一人の代表作であり、最後の仕事として知られます。高度経済成長期の日本に起きた四大公害事件の一つである水俣病を、現地に3年以上暮らし、当時の妻アイリーンとともに命を懸けて取材。長らく絶版となっていた、水俣の真実に迫る不朽のドキュメントがいまここに蘇ります。 写真はせいぜい小さな声にすぎないが、 ときたま――ほんのときたま――一枚の写真、あるいは、 ひと組の写真がわれわれの意識を呼び覚すことができる。 もし充分に熟成されていれば、写真はときには物を言う。 それが私――そしてアイリーン――が水俣で写真をとる理由である。 (本書より抜粋)
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安吾巷談
¥1,760
著者:坂口安吾 出版社:三田産業 282ページ 195mm × 135mm ハードカバー ~出版社紹介文より~ 1950年に発刊された坂口安吾の傑作ルポルタージュを復刊。 政治や芸術から競輪、ストリップまで、多様なトピックに安吾が縦横無尽に斬り込んでいく。 およそ70年の時を越え、安吾の透徹した批評精神がここに甦る。 【目次】 麻薬・自殺・宗教 天光光女史の場合 野坂中尉と中西伍長 今日われ競輪す 湯の町エレジー 東京ジャングル探検 熱海復興 ストリップ罵倒 田園ハレム 世界新記録病 教祖展覧会 巷談師退場 ~店主コメント~ 終戦間もない日本の社会風俗を安吾らしい筆致で活写。 本書に描かれている卑俗な風景は、日本人らしさの一端なのかもしれないです。