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ルポ 国威発揚 「再プロパガンダ化」する世界を歩く
¥2,640
著者:辻田真佐憲 発行元:中央公論新社 400ページ 195mm × 135mm ハードカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 何がわれわれを煽情するのか? 北海道から沖縄までの日本各地、さらにアメリカ、インド、ドイツ、フィリピンなど各国に足を運び、徹底取材。歴史や文化が武器となり、記念碑や博物館が戦場となる――SNS時代の「新しい愛国」の正体に気鋭が迫る! 【目次】 【第一部】個人崇拝の最前線 1章 トランプの本拠地に潜入する 米国/トランプタワー 2章 親日台湾の新たな「聖地」 台湾/紅毛港保安堂 3章 安倍晋三は神となった 長野/安倍神像神社 4章 世界一の巨像を求めて インド/統一の像 5章 忘れられた連合艦隊司令長官 佐賀/陶山神社 6章 「大逆」の汚名は消えない 山口/向山文庫 【第二部】「われわれ」の系譜学 7章 わが故郷の靖国神社 大阪/伴林氏神社 8章 消費される軍神たち 大分/広瀬神社 9章 自衛隊資料館の苦悩 福岡/久留米駐屯地広報資料館 10章 「日の丸校長」の神武天皇像 高知/旧繁藤小学校 11章 旧皇居に泊まりに行く 奈良/HOTEL賀名生旧皇居 12章 「ナチス聖杯城」の真実 ドイツ/ヴェーヴェルスブルク城 13章 感動を呼び起こす星条旗 米国/マクヘンリー砦 【第三部】燃え上がる国境地帯 14章 祖国は敵を求めた ドイツ/ニーダーヴァルト記念碑 15章 「保守の島」の運転手たち 沖縄/尖閣神社 16章 観光資源としての北方領土 北海道/根室市役所 17章 「歴史戦」の最前線へ 長崎/軍艦島 他 18章 差別的煽情の果てに 京都府/靖国寺 19章 竹島より熱心な「島内紛争」 島根県/隠岐諸島 20章 エンタメ化する国境 インド/ワガ国境、中国/丹東 【第四部】記念碑という戦場 21章 もうひとつの「八紘一宇の塔」 兵庫/緑の塔 22章 東の靖国、西の護国塔 静岡/可睡齋 23章 よみがえった「一億の号泣」碑 岩手/鳥谷崎神社 他 24章 隠された郷土の偉人たち 秋田/秋田県民歌碑 25章 コンクリートの軍人群像 愛知/中之院 26章 ムッソリーニの生家を訪ねて イタリア/プレダッピオ 27章 記念碑は呼吸している ベトナム/マケイン撃墜記念碑 28章 けっして忘れたわけではない フィリピン/メモラーレ・マニラ1945 【第五部】熱狂と利害の狭間 29章 戦時下の温泉報国をたどる 奈良/湯泉地温泉 他 30章 発泡スチロール製の神武天皇像 岡山/高島行宮遺阯碑 31章 軍隊を求める地方の声 新潟/白壁兵舎記念館 32章 コスプレ乃木大将の軍事博物館 栃木/戦争博物館 33章 「救国おかきや」の本物志向 兵庫/皇三重塔 34章 右翼民族派を駆り立てる歌 岐阜/青年日本の歌史料館 35章 郷土史家と「萌えミリ」の威力 熊本/高木惣吉記念館
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増補新版 人間の条件 そんなものない
¥1,980
著者:立岩真也 発行元:新曜社 432ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 人間にとっての「最低限度」の生活って? 〈できる〉か〈できない〉かで人間の価値が決まる。 できれば「多くとれる」。 そういう考えは、まったく正しくない。 それはなぜか──人間がそのままの姿で生きている、そのことの価値と意味を、さまざまな運動の歴史と深い思索の数々を丁寧に参照しながら、論理的に解き起します。成果主義、能力主義、自己決定、尊厳死、介護、格差、貧困、税。それらはいままさにその内実を再検証され、この国に生きる人々とシェアされるべきでしょう。著者の生涯をかけたテーマがマンガやイラスト交え、易しく描かれます。 憲法二十五条をめぐるインタビュー「健康で文化的な最低限度?」を増補。 【目次】 増補新版 人間の条件 そんなものない 目次 簡単で別な姿の世界、を歌えないなら、字を書く 序 1 できなくてなんだ 2 ならどうならよいか・1 3 しかしこの世のしくみ――私たちの社会は変だ 4 でも社会はそうじゃないかという話 5 人は違うものを信じている 6 差は仕方がない、必要だというお話について 7 「機会の平等」というお話がいけてない話 8 むしろ差は大きくなる 9 文句の言い方 10 世界の分け方 11 違いへの応じ方 12 材料も仕事も分ける 補・1 教科書に書いたこと 補・2 三人の人と話してみた 補・3 健康で文化的な最低限度? 本の紹介 終りに
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不完全な社会をめぐる映画対話 映画について語り始めるために
¥2,640
SOLD OUT
著者:河野真太郎 発行元:堀之内出版 368ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** こんな映画本を待っていた! 「陰謀論」、「ハラスメント」、「ケア」、「ミソジニー」、「障害」etc...テーマに沿って、現代映画を社会的な視点で語るスリリングな対談。 「好きだった監督がハラスメントで告発されたとき、作品にどう向き合えばよいのか?」「一昔前の作品を見るとジェンダー観に違和感を覚えて楽しめない」等、近年多くの人が直面した問題に寄り添いながら、映画と社会の関係を深く見通す。誰もが感想をSNSで発信し、映画を見ることがコミュニケーションに組み込まれつつある現代で、映画と社会はどのような関係にあるのだろうか?映画を「観る」だけでなく、「語る」ことの比重が増す社会における、新たな地平を描く。 【目次】 まえがき──映画と社会についての短い個人史 西口想 【対話1】ハラスメントがある世界で、いかに作品と向き合うか もはやハラスメントの教科書?──『セッション』 「ハラスメントを気にしていたらいい作品は生まれない」というメッセージ いま見ると気になる描写も多いフェミニズム映画──二〇〇〇年代の代表作『スタンドアップ』 社会進出は進んだけれど……──女性たちのリアル 監督のハラスメントをどう考えるか? 被害者と加害者の訴えは「五分五分」ではない 批判がないと、作品が死ぬ──過去の作品をどう評価するか? トランスジェンダー表象の変遷と発展──『トランスジェンダーとハリウッド』 かつて批判されたパターンを踏襲する日本のトランス表象──『ミッドナイトスワン』 「クリーン」な現場で生まれる作品はつまらない? コラム ミーガン・トゥーイーの悪夢 西口想 【対話2】「シャカイ」を描くセカイ系──新海誠作品を読み解く 新海作品で描かれる感性的なもの キャラクターの背景を描かない 「大丈夫」というメッセージの変質 バニラトラックを描くことが、社会を描くことなのか 村上春樹の男性性と帆高 ミソジニーを脱却できない「男の成長物語」 コラム セカイとシャカイのあいだで──新海誠と宮﨑駿 河野真太郎 【対話3】社会を描くとはどういうことか──ケン・ローチ作品 希望のないラストの衝撃 ラストに至るまでの「希望」 家族しかいないことの絶望 ケン・ローチが描いてきた家族 時事性に回収されない、ケン・ローチの作家性 個人の成功をあえて描かない 「ケアラーなのに悪態をついてごめんなさい」 ケン・ローチが描く女性と男性 ケン・ローチと是枝裕和──作品の違い、社会の違い 映画が社会的であるということはどういうことか 個人を描くことから始める 【対話4】陰謀論は、お好きですか? 『ドント・ルック・アップ』と陰謀論 陰謀論はどう変化してきたか? 陰謀論とキリスト教の切っても切れない関係 ネオリベラリズムと大富豪──ハデンとイッシャーウェル ヒロイン像の変化──ミソジニー描写を通じて 一九九〇年代を代表する陰謀論映画──『ファイト・クラブ』『マトリックス』『アメリカン・サイコ』 マルチバースと陰謀論──『マトリックス』とマーベル作品 陰謀論にどう立ち向かうか──『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』 家族主義的な「愛」に対する違和感 さまざまな映画オマージュが持つ意味 ありえた可能性のなかで最低の人生 映画は常に陰謀論と隣り合う 【対話5】それは誰のための映画か──障害と物語 障害を扱った感動作──『コーダ あいのうた』 感動のために障害者を搾取していないかを考える 『コーダ』は誰のための映画か? 健常者向け/障害者向けという線引きの先に コミュニティからの離脱をどう描くか──『リトル・ダンサー』と『コーダ』 新自由主義下の障害者政策 社会がつくりだす障害 一般化できない経験にどう向き合うか 「私の物語は私のもので、コーダにしかわからない」 「ろう者として生まれたかった」は何を意味するのか ケアラーをケアするのは誰か コラム 『ケイコ 目を澄ませて』と障害者のワークフェア 河野真太郎 【対話6】「当事者」が演じることについて──移民・難民と映画 日本で生活する移民たち──『マイスモールランド』 世代間トラウマを乗り越える──『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』再び 繰り返し主題になってきた世代間トラウマ 当事者性と創作の関係 悪意なき差別を丁寧に描く 「見えていない」が、確かに存在する移民社会 社会派映画はなぜ失敗するのか──手法の難しさ 当事者が表に立つ重要性と危険性 「当事者」とは誰なのか 鍵となる概念──インターセクショナリティ コラム 現在地としての『ファミリア』 西口想 【対話7】ケアと男性性──苦悩する男たち ケアと男性性──『ドライブ・マイ・カー』 人間の多重性・矛盾を受け入れること ホモソーシャリティを切り崩す多声性 暴力性が外部化された人物造形 イクメンになる男、最初からイクメンの男──『クレイマー、クレイマー』『マリッジ・ストーリー』 障害と男性性──『アイ・アム・サム』の障害表象 養育権をめぐる法廷闘争──『マリッジ・ストーリー』 解決されない暴力性 コラム 『カモン カモン』とイクメン物語のゆくえ 河野真太郎 【対話8】映画のなかのミソジニー──能力と傷をめぐって ポピュラー・フェミニズムとポピュラー・ミソジニー──#MeToo以降のヒット作を読み解くキーワード 失われた地位を「取り戻す」物語 『ジョーカー』のポピュリズムをどう捉えるか? 原作にはなかった階級性、地域性を織り込む映画たち 「格差」に比べて、あまり意識されない「階級」 弱者男性にとっての父親──『ジョーカー』『バーニング』 いまさら父を越えている場合じゃない──『パラサイト』の親子関係 メリトクラシー社会が崩壊した先の女性たち 【対話9】ファッションを通じて何を描く? 映画に衣装は欠かせない 「お針子」映画とブランド創業者の映画 ポストフェミニズム映画の重要作品──『プラダを着た悪魔』 『プラダを着た悪魔』を上書きする『クルエラ』 女性ヴィランの暴力をどう描くか? 仲良く過ごすために毒を盛る?──『ファントム・スレッド』 ファスト・ファッションの時代に映画は何を描くか? コラム 「透明人間」の夢 西口想 【対話10】おいしい映画──ジェンダー・料理・労働 さまざまな文脈が託される「料理」のシーン 2つの類型──「シェフ」の物語と「料理研究家」の物語 料理の過程を見せる作品/出来上がった皿を見せる作品 料理の描写と性描写の重なり 料理とジェンダー──求められる男性像の変化 不完全な人間でよい、という提案 主婦とバリキャリ女性の対比 半径五メートルの世界を快適に整える現代性 レシピを介して、目の前にいない誰かとつながってゆく レシピと「コモン・カルチャー」 【対話11】 住むこと、住まいを失うこと ケン・ローチのエッセンスを継ぐ作品──『サンドラの小さな家』 生活の基盤としての「家」を問う 偶然でしかつながれない?──階級コミュニティなき時代のコミュニティ ケン・ローチが描く「家」の意味──『SWEETSIXTEEN』 金融危機で消失した家とコミュニティ──『ノマドランド』 公共・福祉の稀薄さから見えるアメリカ社会 家の獲得に紐づいた男性像と、女性のセキュリティ 人間にとって「家」とは何か、「老い」とは何か──『ミナリ』『ファーザー』 「働き続ける主体」という幻想 コミュニケーションとしての映画──あとがきにかえて 河野真太郎
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九月はもっとも残酷な月
¥1,980
SOLD OUT
著者:森達也 発行元:ミツイパブリッシング 254ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 映画「福田村事件」監督の最新時評集。 関東大震災後に起きた朝鮮人虐殺を見つめ、ウクライナやガザに煩悶する。「〈僕〉や〈私〉の一人称が、〈我々〉〈国家〉などの大きな主語に置き換わるとき、人や優しいままで限りなく残虐になれる」と著者は言う。映画公開前後の日々から独自の映像創作論、初めて福田村事件をとりあげた伝説のエッセー「ただこの事実を直視しよう」も収録。 その他、入管法やイスラエル・パレスチナ問題、東アジア反日武装戦線など、時事ニュースの奥に潜む社会の核心に食らいつく。 【目次】 Ⅰ 忘れられた加害と想像力 ただこの事実を直視しよう 大量虐殺のメカニズム 映画は観た人のものになる 表現は引き算だ 高野山の夜 忘れられた加害 反日映画の条件 一年ぶりの釜山 オウム以降と親鸞 北京国際映画祭 Ⅱ リアリティとフィクションの狭間で 嫌な奴だと思っていたら嫌な奴に編集できる 天皇小説 テレビに場外ホームランはいらない 「テロ」の定義 三人の兵士たち 『オッペンハイマー』は観るに値しない映画なのか Ⅲ ニュースは消えても現実は続く 事件翌日の夜に 危機管理に目を奪われて転倒 世論とメディアの相互作用 入管法改正前夜 ピースボートは社会の縮図だ イスラエル・パレスチナ問題を考える すぐに消える大ニュース コロナから裏金まで 世界はグラデーションだ 地下鉄サリン事件は終わっていない 「味方をしてくれというつもりはない」 パレスチナ難民キャンプ パレスチナと愛国心 Ⅳ 無限の自分を想像すると少しだけ楽になる くすぶり続けるもの 『いちご白書』 平壌から 自由か安全か 多世界を思う 死刑囚になった夢の話 修業時代 ティッピング・ポイント 北朝鮮ミサイル発射! 桐島、活動やめたってよ ゴッド・ブレス・アメリカ
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〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー ヤンキーの生活世界を描き出す
¥2,640
著者:知念渉 発行年:青弓社 276ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** ヤンキーは何を考え、どのようにして大人になるのか――。 高校で〈ヤンチャな子ら〉と3年間をともに過ごし、高校を中退/卒業してからも継続して話を聞いて、集団の内部の亀裂や、地域・学校・家族との軋轢、社会関係を駆使して生き抜く実際の姿を照らす。 【目次】 序 章 〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィーに向けて 1 巷にあふれる「ヤンキー語り」と調査の不在 2 〈ヤンチャな子ら〉を調査・研究する意義 3 本書の目的と独自性 4 調査の概要 5 本書の構成 第1章 ヤンキーはどのように語られてきたのか 1 若者文化としてのヤンキー 2 生徒文化としてのヤンキー 3 階層文化としてのヤンキー 4 これまでのヤンキー研究の課題 5 分析の方針 第2章 〈ヤンチャな子ら〉の学校経験――教師との関係に着目して 1 〈ヤンチャな子ら〉と教師の対立? 2 学校文化の三つのレベル 3 家庭の文化と学校文化の葛藤 4 〈ヤンチャな子ら〉と教師の相互交渉 5 教師への肯定的評価と学校からの離脱 6 〈ヤンチャな子ら〉と「現場の教授学」 第3章 〈ヤンチャな子ら〉とは誰か――〈インキャラ〉という言葉に着目して 1 集団の曖昧さ 2 類型論的アプローチを超えて 3 〈インキャラ〉という解釈枠組み 4 文脈のなかの〈インキャラ〉 5 〈インキャラ〉という解釈枠組みのゆらぎ? 6 集団の内部の階層性 第4章 「貧困家族であること」のリアリティ 1 「子ども・若者の貧困」研究における本章の位置づけ 2 「記述の実践としての家族」という視点 3 記述の実践としての「貧困家族」 4 アイデンティティとしての家族経験 第5章 学校から労働市場へ 1 〈ヤンチャな子ら〉の仕事への移行経路 2 〈ヤンチャな子ら〉の移行経験――六人の語りから 3 移行経路と社会的ネットワーク 終 章 〈ヤンチャな子ら〉の移行過程からみえてきたこと 1 〈ヤンチャな子ら〉集団内部にある「社会的亀裂」 2 重層的な力学のなかにヤンキーを位置づけた意義 3 「ヤンキー」と括られる人々の内部に目を向けることの重要性 4 アンダークラスとしてカテゴリー化することの危険性 5 〈貧困の文化〉か、〈社会的孤立〉か 6 社会関係の編み直しに向けて 巻末資料 参考文献 初出一覧 あとがき
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戻れないけど、生きるのだ 男らしさのゆくえ
¥2,090
SOLD OUT
著者:清田隆之(桃山商事) 発行元:太田出版 304ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** ひとりの青年が、とまどい、ゆらぎ、つまずきながら、夫になり、父になる成長物語。その率直さに胸を衝かれる。男性が本書から学ぶことは多いだろう。——上野千鶴子 このひとの書くものはブレない。それはたぶん、自分の立ち位置と付与された力を厳しすぎるくらいに点検することを忘れないからだ。——信田さよ子 フェミニズムから受け取った重たい宿題。これからの〈俺たち〉へ。 男らしさや男性性にまつわる当事者研究として各メディアで話題となった『さよなら、俺たち』に続く最新ジェンダー・エッセイ集。ジェンダーの先にある人間の生き方、幸福を探求する。 人生の価値は、人生の豊かさは、どれだけ何かに心を揺さぶられたかでおそらく決まる。ジェンダーとは生き方や在り方に直結する問題で、私たちの言動や感受性のOS(オペレーション・システム)として機能しているものだ。そこに変化を加えようとすれば、当然ながらいろんなところがギリギリ軋む。そのストレスや不快感はバカにならず、反動的なエネルギーが生じたって不思議ではない。だからこそ思う。俺たちは頭で考えてるだけでは変われない。そのためには何かに圧倒され、言葉を失い、放心状態になるような体験を重ねることが重要で、内省も責任も、ケアも覚悟も、抵抗も希望も、きっとそういう時間から生まれるはずだ。もちろん本やドラマだけじゃない。恋愛にも、子育てにも、仕事にも、旅にも、生活にも、友達とのお茶にも、そんな感動は宿っている。「昔のほうがよかった」「ずいぶん息苦しい時代になった」「あの頃に帰りたい」って気持ちは誰の中にもあると思うけど、進んでしまった時間を、変化してしまったものを、元に戻すことはもうできない。それでも毎日は続くし、何かに心を震わせながら生きていくことは全然できる。さよならした時間に戻ることはできないけれど、男らしさの危機が叫ばれるこの時代を、俺たちはこれからも生きるのだ。 (「戻れないけど、生きるのだ」) 【目次】 1 〈男〉とフェミニズム──シスターフッドの外側で 2 我は、おじさん──男性優位社会と中年世代の責任 3 被害と加害と恥と傷──泣いてる〈俺〉を抱きしめて 4 平成から遠く離れて──生産性の呪いと自己責任社会 5 家父長制への抵抗──結婚と家族、ジェンダーの呪縛 6 これからの〈俺たち〉へ──beingの肯定
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さよなら、俺たち
¥1,870
SOLD OUT
著者:清田隆之(桃山商事) 発行元:スタンド・ブックス 304ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 俺たちはこのままでいいのか。 これからの時代私たちに必要なことは、甘えや油断、無知や加害者性など、自分の見たくない部分と向き合いながら、「俺たち」にさよならすることだ。 1200人を超える女性の恋愛相談に耳を傾けた結果、見えてきたのは男たちの幼稚で狡猾な姿だった。恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表として恋愛と性差の問題を発信してきた著者による、初の本格的ジェンダー・エッセイ集。 失恋、家事、性的同意、風俗、夫婦別姓、マンスプレイニングからコロナ離婚まで、様々なテーマに根づく男性問題を掘り下げていく。 【目次】 さよなら、俺たち 1 あの人がいない人生を生きるのだ――失恋による小さな死 あの人がいない人生を生きるのだ 失恋による“小さな死”を乗り越えるには こじらせ男子の当事者研究――失恋ホストの現場から 2 俺たちは全然客観的で中立的なんかじゃない ――男の幼稚さ 「気づかない男たち」 ――ハラスメント・スタディーズ 俺たちは全然“客観的”で“中立的”なんかじゃない―― セカンドレイプ ボクたちはいつ大人になれるのだろうか ――大根仁作品における「男の幼稚さ」について 『ラブライブ!サンシャイン!!』のPRイラスト論争。批判の声に怒っているのは誰なのか 女子小学生にまで求められる“男ウケ”のモテ技。俺たち男はなぜ「さしすせそ」で気持ち良くなってしまうのか 世界で進む「性的同意」の議論。俺たちはその意味を理解できているのか 3 私たちはすれ違ってすらいないのかもしれない――コミュニケーションと聞く力 「男をひと括りにするな!」から進むために 我々が“聞ける男”になるために必要なこと 「コロナ離婚」の背景にある絶望感の正体 私たちは“すれ違ってすらいない”のかもしれない 4 生理が〝自己責任〟になってしまうディストピア――強固な男性優位の社会構造 田嶋陽子が再ブーム。“日本でいちばん誤解されたフェミニスト”はこんなにカッコ良かった エロ本の作り手にお話を伺う中で見えてきた巨大構造 生理が“自己責任”になってしまうディストピア doing偏重社会に生きる私たちに突きつけられた“ミラー小説” 「子どもを産まなかったほうが問題」は失言ではない。現政権の本音だ 「夫婦別姓は犯罪が増える」というトンデモ発言は“男性特権”が生んだ無知の末路 5 加害者性に苦しむ男たち――抑圧と孤独 女性の恋愛相談を聞きまくった結果、過剰に抑圧されるようになった私の性欲 “加害者性”に苦しむ男たち 内面の孤独 性欲は“本能”って言うけれど……男性にとって風俗とはどういう場所なのか 6 生まれたからにはまだ死ねない――beingから「私」へ 矛盾への恐怖と恋愛相談 「だったらひとりで生きればいいのでは?」と絶望される前に 家に一冊も本がなかった 自分を掘れば他者とつながる ぺこぱ“NEO優しい”の衝撃 「優しいのにおもしろい」という革命 笑いと脱力をもたらすbeingの世界――さくらももこ論 生まれたからにはまだ死ねない
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読書と暴動 プッシー・ライオットのアクティビズム入門
¥2,860
著者:ナージャ・トロコンニコワ 発行元:ソウ・スイート・パブリッシング 304ページ 188mm × 118mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** カラフルな目出し帽。挑発的なライブパフォーマンス。FIFAワールドカップ決勝戦への乱入。結成時から現在に至るまで、常に世間の耳目を集めるロシアのフェミニスト・パンク集団、プッシー・ライオットとはいかなるグループなのか? なぜ結成されたのか? その真の目的とは? 創設メンバーのナージャ・トロコンニコワがその全貌を明らかにする。 本書『読書と暴動』は、プッシー・ライオットの設立経緯から、かれらがロシア国内でおこなった数々のアクション、さらにはロシア当局に逮捕されたのちの苛烈極まる獄中生活までを綴ったトロコンニコワの手記である。また同時に、著者がそうした体験のなかから得た“実践的な知”を紹介する「生き方の指南書(サバイバル・ガイド)」でもある。 ロシアでフェミニストでクィアであることの意味とは? アクティビズムは社会でどんな役割を果たすのか? アートとアクティビズムはいかに交差するのか? ハーバード大学やケンブリッジ大学で講演をおこなうアクティビストで、アイ・ウェイウェイやジェニー・ホルツァー、ジュディ・シカゴらの系譜に連なるアーティストのトロコンニコワが、カントからニーナ・シモン、あるいはウィトゲンシュタインからパンク・ソングの歌詞まで縦横無尽に引用しながら、そうした疑問の数々にユーモアたっぷりに答えていく。 【目次】 文化労働者としてのアーティスト――日本版のためのまえがき イントロダクション ルール1:海賊になれ ルール2:ドゥ・イット・ユアセルフ ルール3:喜びを取り戻せ ルール4:政府をびびらせろ ルール5:アート罪を犯せ ルール6:権力の濫用を見逃すな ルール7:簡単に諦めるな。抵抗せよ。団結せよ。 ルール8:刑務所からの脱出 ルール9:オルタナティヴを創造せよ ルール10:ビー・ア・(ウー)マン 最終声明:希望は絶望から生まれる この本に寄せて キム・ゴードン この本に寄せて オリヴィア・ワイルド 解説 清水知子(東京藝術大学教授) あるプッシー・ライオットの推薦図書リスト
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希望ではなく欲望 閉じ込められていた世界を飛び出す
¥2,200
著者:キム・ウォニョン 訳者:牧野美加 発行元:クオン 324ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 生きる資格のない人間などおらず、誰でも堂々と欲望を抱いていいのだ 社会的に認められた職業や地位にある人々が作り出す世界と、 就職はおろか外出すらままならない友人たちが閉じ込められている世界。 その二つの世界の狭間に立ち、行き来しながら、考え、弁論し、表現する――。 作家、弁護士、パフォーマーなど多方面で活躍するキム・ウォニョンの自伝的エッセイ。
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北朝鮮に出勤します 開城工業団地で働いた一年間
¥2,200
著者:キム・ミンジュ 訳者:岡裕美 発行元:新泉社 200ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 毎週月曜の朝、ソウル市内でバスに乗り込み、軍事境界線を越えて北朝鮮に出勤。 平日は北の職員たちと“格闘”し、週末は韓国に戻る。 南北経済協力事業で北朝鮮に造成された開城(ケソン)工業団地。 20代の韓国人女性が開城で経験した特別な1年間と、北の人々のありのままの素顔を綴ったノンフィクション。 【目次】 日本の読者の皆様へ はじめに I 開城で感じた春 開城に足を踏み入れた日 北朝鮮歌謡、心に残る人 〝あのお方〟の顔が描かれたバッジ? 太極旗が描かれたバッジ? マキシムコーヒーは韓国をのせて——開城への物品搬入 税関は黒いビニール袋を持って——サムギョプサルの上納 花束と参事官のおじさん、そして金正哲とエリック・クラプトン 給食施設の残飯と生ごみはどこへ? 一本のキンパから実感する南北の経済格差 三〇〇〇人分の食材、そして北朝鮮冷麵? いいえ、開城工業団地風冷麵! II 開城で体験した夏 賃金戦争とカレイ事件 北の労働者はNG、平壌市民はOK 八月一五日、南は光復節、北は解放節 食事会の日は〝お持ち帰り〟が当たり前? ヒャンイの妊娠と職員たちの〝総和〟 ヒョスクの大事なぶどう、一房は嫁ぎ先に、もう一房は実家に 一トントラックで休戦ラインを越え結婚式へ! 木箱地雷事件が開城工業団地の人々に及ぼす影響 III 開城で過ごした秋 統一の花、林秀卿 「ありがとう」と言うのはそんなに大変? 田舎者のような北の軍人、シティボーイのような南の軍人 宗教書の一節を理由に罰金一五〇ドル 北朝鮮女性たちの労働時間 USBと罰金二〇〇ドルで南北が一致団結 IV 開城で出会った冬 班長さん、みかんが必要なら先に言ってください 職員たちに渡したかったお餅、果物、そしてパン 免税店で働く北朝鮮女性 警備員さんと私 南北でキムチ交換 いまも思い出す北の職員、リ・スンヒ 一二月一一日、南北会談の日の冷泉サイダー 北のエリート女性、スヒ 一月六日の核実験、そして玄関前の北の配達員たち 開城に入るまで おわりに 訳者あとがき *********************** 店主コメント *********************** 朝鮮と韓国の経済協力事業のひとつとして、軍事境界線からほど近い北朝鮮南部に造成され2004年に操業を開始した開城工業団地。 この本は、約1年にわたって団地に勤務し韓国から通い続けた20代の韓国人女性が、職場での出来事や職員との交流を綴ったエッセイです。 上司の在否によって変わる会話の内容、会話の中でうっかり踏んでしまった〝地雷〟、職場内に存在する暗黙の了解など…日常の中で著者が見たことや肌で感じたことがエピソードとして書かれています。その内容からは、経済や情報の格差を感じると同時に、私たちとあまり変わらない平凡でありふれた職員たちの姿も垣間見ることができます。
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会社と社会の読書会
¥1,980
SOLD OUT
著者:畑中章宏/若林恵/山下正太郎/工藤沙希 編者:コクヨ野外学習センター/WORKSIGHT 発行元:黒鳥社 224ページ 210mm × 148mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 『論語と算盤』『学問のすゝめ』から『ブルシット・ジョブ』まで・・・・・・ 246冊の本から「日本の会社」という謎に迫る! 『働くことの人類学』のコクヨ野外学習センターが民俗学者の畑中章宏を迎え、会社と社会をネタに、読み、考え、語り合った、融通無碍な読書会の記録。 【目次】 はじめに 会社を問う・社会をひらく 山下正太郎 第1回 会社がわからない 会社の民俗学/「会社=社会」だと思っていた/単数形としての「社会」/メンバーシップの“タテ”と“ヨコ”/商人はどこへ消えた 第2回 ふたつの「勤勉」 『論語と算盤』がわからない/資本主義の不気味な「精神」/貯める勤勉・働く勤勉/経営と温情主義 俸禄とへそくり 第3回 家と会社と女と男 女工から始まる/職業婦人・痴漢・ルッキズム/母性保護論争のあらまし/家はそもそも企業体 第4回 立身出世したいか 出世欲ある?/「立身」と武家社会/勉強して官僚になろう/暗記力がすべて/非凡なる凡人 第5回 何のための修養 社歌・社訓・創業者の胸像/松下幸之助の「わからなさ」/ノン・エリートのための「修養」/新興企業に社葬が必要な理由/トイレ掃除とジョブ・ディスクリプション 第6回 サラリーマンの欲望 研究者にも謎、当事者にも謎/サラリーマンの絶望と欲望/転がる紙風船 第7回 会社は誰がために ChatGPTに仕事を奪われる/ブルシット・ジョブがまた増える/仕事における「ケア」/「小商い」に戻る/デジタル・プラットフォームと市場/結局会社は要るのか コラム 会社の補助線 ◉遅刻の起源 ◉虹・市・起業 ◉速水融の「勤勉革命」 ◉「失敗」や「挫折」を語れ ◉女性とアトツギ ◉経団連と自己啓発 ◉トーテムとしての「暖簾」 ◉社宅住まいの切なさ ◉三菱一号館から始まる ◉「事務」はどこへ行くのか ブックリスト 本書で取り上げた本 246冊
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SNS時代のカルチャー革命
¥1,760
著者:竹田ダニエル 発行元:講談社 192ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 誰もがインフルエンサーになれる時代。 「バズ」で社会はどう変わる? ビヨンセと人種差別、映画『バービー』と資本主義―― SNS上で巻き起こる議論を分析! 現代のカルチャーの成り立ちや変化、そこに紐づく社会への問題意識に光をあてる! アーティスト、経営者のSKY-HIとの対談を豪華収録!! 「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」を受賞、『世界と私のAtoZ』の著者による『群像』の人気連載エッセイを書籍化! 【目次】 はじめに 第1章 サードプレイスの消滅 第2章 アルゴスピークという抵抗 第3章 Girlhoodの再定義 第4章 学生デモとパレスチナ 第5章 ビヨンセとカントリー音楽 第6章 映画『バービー』がもたらしたもの 第7章 Tradwifeブームとフェミニズム 第8章 「Girl」トレンドの変遷 第9章 「Fast Car」が愛され続ける理由 特別対談 竹田ダニエル × SKY-HI 議論自体が自己肯定感につながる おわりに
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わたしの農継ぎ
¥1,980
SOLD OUT
著者:高橋久美子 発行元:ミシマ社 240ページ 188mm × 130mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 稼ぐためではなく、風景や知恵や種を、受け継ぐために。 地元(愛媛)では農、東京では作家。 チームで畑をして、ときにバンド活動も。 模索した、新しい農のかたち。 農業にかぎらず、あらゆる分野で継承の問題に奮闘する方たちへ贈る一冊。 ------------------------------------------ ――本文より―― その人の人生の一部に土があるということ。それは農業うんぬんの前に、生きることや生命のルーツを知ることにもなると思う。自分の食べるものを自分で採取するという行為は、あまりにも現代人の生活に欠けていて、それなのにあまりにも生物の根本だった。 畑は、本当は世界で一番豊かな作業場だ。忘れがちだけど、宇宙にいつも触れることができるのだから。さまざまに五感を刺激され、それを音楽とか詩に昇華し、畑帰りに曲を作り歌う日もある。 私たちのように職は別に持ち、自給自足+αを目指して活動する農家が、もっといてもいいはずだ。そして、やれなくないよ、とここに記したい。 ------------------------------------------ 【目次】 2022.01~03 冬 木と人の世代交代 2022.03~05 春 動物たちとどう生きるか 2022.06~08 夏 真剣な遊びとしての畑 2022.09~11 秋 お百姓は忙しすぎる 2022.12~2023.02 冬 黒糖作りを継ぐ 2023.03~05 春 農業は半分が土木 2023.07~08 夏 チームでする農業 2023.09~11 秋 わたしの農継ぎ 2023.12~2024.02 冬 石積みを継ぐ
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いつかみんなでごはんを 解離性同一性障害者の日常
¥1,760
著者:碧月はる 発行元:柏書房 192ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 虐待サバイバーで解離性同一性障害者。そんな過去や属性を聞いたとき、どう思うだろうか。怖い、可哀想、つらい過去を乗り越えた強い人、下手に関わらないほうがいい相手。あるいは、かつて「多重人格」とも呼ばれたこの病に、好奇の目を向けるだろうか。この社会では、正常とされる枠からはみ出た瞬間、一方的に判断され、傷つけられることが日常茶飯事である。 本書は、虐待サバイバーである自身の原体験をもとに、マイノリティの現状や課題について発信してきたライターが、主人格含む7つの人格と共に、パートナーにも支えられながら生きる「普通の日常」を綴った一冊だ。 【目次】 はじめに——私の人間宣言 交代人格 「はるさんはゴレンジャー」 眠るのが下手な母と、長男の憂鬱 虫を素手で触る母は、時々、大の虫嫌いになる 「もう子どもだもん!」 精神疾患と親権 つながる海 「どうしてみんな意地悪するの?」 ありふれたトリガー 約束のオムライス 「帰りたい」場所 飲めないレモンスカッシュ いつかみんなでごはんを 〝怒り〟の瞬発力を養う 食べることは生きること 桜の庭 二度目のはじめまして パートナーが適応障害と診断された日 支える者は「つらい」と言えない もし、二度目の人生があったなら おわりに——幸福と絶望は行き来する
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酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話
¥2,420
SOLD OUT
著者:松本俊彦/横道誠 発行元:太田出版 304ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 「ダメ。ゼッタイ」に代わる、有効な手立てはありうるのか? 依存は回復の始まり。 やめればいいってものじゃない!? 連載時から当事者、当事者家族、支援者・専門家を騒然とさせた 不良患者×不良医師による画期的な往復書簡がついに書籍化――。 現代人にとって最も身近な「病」である依存症――非合法のドラッグやアルコール、ギャンブルに限らず、市販薬・処方箋薬、カフェイン、ゲーム、スマホ、セックス、買い物、はたまた仕事や勉強など、その対象は多岐にわたる。 そんななか最も身近な依存物質であるアルコール依存症の治療中で、数多くの自助グループを運営する文学研究者・横道誠と、「絶対にタバコをやめるつもりはない」と豪語するニコチン依存症で、依存症治療を専門とする精神科医・松本俊彦の、一筋縄ではいかない往復書簡が始まった。最小単位、たったふたりから始まる自助グループ。 依存症の裏側にある、さらにその深淵へ! 特別鼎談「ギャンブル依存症問題を考える(ゲスト:田中紀子)」も収録。
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死すべき定め 死にゆく人に何ができるか
¥3,080
SOLD OUT
著者:アトゥール・ガワンデ 訳者:原井宏明 発行元:みすず書房 312ページ 193mm × 135mm ハードカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 今日、医学は人類史上かつてないほど人の命を救えるようになった。しかし同時に、人はがんなどの重篤な病いと闘う機会が増え、寿命が飛躍的に延びた。老人ホームやホスピスなど家族以外の人々も終末期に関わるようになり、死との向き合い方そのものが変わってしまったのである。この「新しい終末期」において、医師やまわりの人々、そして死にゆく人に何ができるのだろうか? インドの田舎町で長老として過ごすおじいさん、子供と離れて一人で都会的な生活を送るおばあさん、母親になってすぐに末期がんと向き合う女性……。本書の著者アトゥール・ガワンデは、外科医としていくつもの最期の決断に立ち会い、家族として決断に迫られる。ガワンデが直面する医療にできること、できないこととは——。 現役外科医にして「ニューヨーカー」誌のライターである著者が描く、迫真の人間ドラマ。人生の終盤をよりよくするために奔走した人々のエピソードが圧倒的な取材力と構成力で綴られた本書は、読む者に自らの終末期の選択について多くの問いを投げかけるだろう。 終末期をどう生き、最期の時をどう迎えるのか。私たちは豊かに生きることに精いっぱいで、「豊かに死ぬ」ために必要なことを、こんなにも知らない——。 【目次】 序 1 自立した自己 2 形あるものは崩れ落ちる 3 依存 4 援助 5 よりよい生活 6 定めに任せる 7 厳しい会話 8 勇気 エピローグ *********************** 店主コメント *********************** フレイル(衰弱状態)によって一人暮らしがままならない高齢者や難病を患う終末期患者に対する医療とケアのあり方を考えるルポルタージュ。 老化や病の進行と共に必要になってくる依存と援助。生命の限界が見えつつあるとき、その人は「自律」した生活を望むことはできないのか?現役の医師である著者が、これまでに関わった患者や彼らを支援する職員たちとの出会いによって見出した死生観を読者に提示する。 医師から提案された治療の選択に苦悩する患者と家族、新たな支援の試みに奮闘する職員など人物背景が丹念に書かれているので感情移入しながら読むことができます。 決して他人ごとではない現実と向き合う読み応え十分の一冊です。
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未整理な人類
¥2,310
SOLD OUT
著者:インベカヲリ☆ 発行元:生きのびるブックス 240ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 世界は「意味不明」でできているーー 路上の怪文書から、不幸の手紙まで。 なぜ人は、理屈でわりきれないことに熱中するのか。 鋭い観察眼とブラックな笑いで現代社会を斬る、異色ノンフィクション。 ------------------------------------------ 倫理観も道徳心も常識も、時代がつくる宗教で、しかもコロコロ変わる。ちょっと俯瞰して見れば、おいおい人間、何してんだよ! と思う不思議な行動がたくさんある。 人間は一番のブラックボックスで、未整理なことだらけだ。となると、「止めたくても止められないもの」「なぜか分からないけど、そうなってしまったもの」「体が勝手に動いたもの」にこそ、人間の本質が現れるのではないか。 本書は、そんな人類の未整理な行動を突っついて、綺麗にまとめることもなく、放り投げてみようという試みである。(本文より) ------------------------------------------ 【目次】 まえがき 第1章 “不幸の手紙”コレクション 第2章 地蔵は服を着る 第3章 「欲しいもの」を持っているのは誰か 第4章 鉄柱詩に見る、芸術と犯罪と症状 第5章 破壊に吸い寄せられる 第6章 「チットGPTみたいなことを言うな!」 第7章 バーチャルに侵略される 第8章 脳内物質を求めて右往左往 第9章 孤独と犯罪に相関関係はあるのか? 第10章 寝顔の発見 第11章 「水槽学」的考 第12章 必ず逆を教える病気 第13章 それぞれの「生きのびる」問題 第14章 価値観の謎 第15章 人が姿を消すとき 第16章 猫で一攫千金 第17章 したたかなキョン 第18章 本物を凌駕する偽物 第19章 何者かになるための準備 あとがき
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わたくしがYES
¥2,200
著者:松橋裕一郎(少年アヤ) 発行元:rn press 344ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 松橋裕一郎=少年アヤ。 自身のセクシュアリティーをめぐる生きづらさと向き合い、エッセイなどでジェンダーレスの思いを発信してきた少年アヤが、本名の「松橋裕一郎」で挑む「覚悟」の一冊。 祖父が亡くなるまでの一ヶ月間、家族と一緒にご飯を食べ、笑い、泣き、家族で祖父を見送った。家族や恋人、自分自身をとりまくすべてを肯定できるまでの愛情の記録。
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神秘的じゃない女たち
¥2,200
著者:イム・ゾヨン 訳者:オ・ヨンア 発行元:柏書房 206ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 受精は、能動的な精子が受動的な卵子を捕獲する過程ではない。 卵子凍結はあるのに、男性のための精子凍結がないのはなぜ? アシスタントロボットが「女型」である理由とは? 本書は、かつて科学者になる夢をあきらめた著者が、フェミニズムと科学技術社会論に出合い、憎んでいた科学と「和解」し、女性の観点から科学を見つめ、科学の観点から女性の体と経験を理解しようとした思索の軌跡をまとめたものだ。 “私は、科学と分かり合えなかった経験のある人たち、そのせいで科学の本にはなかなか手が伸びないという読者を思い浮かべながら本書を執筆した。ほかでもない、私がそういう人間だったからだ。”(「はじめに」より) 本書の探究は、「子どものような純粋無垢な好奇心」からばかり出発するわけではない。その出発点は、卵子凍結について悩むことかもしれないし、高校を卒業してすぐに受けた二重手術かもしれない。うつ病になること、摂食障害になること、妊娠とキャリアについて考えること、無責任な父親について考えること、かもしれない。さまざまな要素が混ざり合う、複雑な個人の暮らしから、本書は話を始めていく。 客観的で普遍的で価値中立的であることを装いつつ、じつのところ女性について無知だった科学にかけられた「呪い」を解き、「よき友」として付き合っていくためのエッセイ集だ。同時に、理系への進学を検討している学生や、その子らを見守る大人たちにもおすすめしたい。 “科学が本当の意味で変化するためには、賢い女子学生ではなく、平凡な女子学生こそもっと必要なのだ。(…)科学者や工学者になりたいという女の子や青少年が周囲にいたら、めいっぱい励ましてあげてほしい。(…)「実力さえあれば女でもなんだってできる」といった言葉の代わりに、「今までそこそこしか勉強してない男子学生だって科学者になれたし、科学界の80%に所属できているんだよ」と付け加えてあげてほしい。”(「おわりに」より) 【目次】 はじめに 神秘的じゃないすべての人のために 1章 性染色体は存在しない 2章 女と男がモザイクになった脳 3章 腸は考える 4章 神秘的じゃない妊娠のために 5章 父親の役割に注目せよ 6章 卵子凍結をめぐる問題 7章 差別をしないAIをつくる 8章 アシスタントロボットは女性だという錯覚 9章 進化論と和解する方法 10章 フェミニズム物理学の挑戦 11章 21世紀サイボーグの現状 12章 アントロポセンの危機に立ち向かって おわりに 思い通りにならなかった私の人生から始まる科学技術 感謝のことば 訳者あとがき 参考文献
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日本の人種主義 トランスナショナルな視点からの入門書
¥1,980
SOLD OUT
著者:河合優子 発行元:青弓社 256ページ 188mm ×128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** アメリカでの黒人への暴力事件と抗議運動、ヨーロッパでの移民排斥、コロナ禍におけるアジア人への差別などがクローズアップされ、海外の問題と思われがちな人種主義や人種差別だが、日本でも歴史的に、そして現在でも深刻な問題であり続けている。 欧米の人種概念と人種主義の歴史的・社会的な背景、基本的な知識を押さえたうえで、日本の人種概念を捉え直し、近代から現代まで、日本で人種主義が展開してきた足跡をたどりながら、トランスナショナルな視点から日本の人種主義の特徴を整理する。そして、アジア地域の植民地支配をはじめとする日本の歴史的背景や「日本人とは誰か」という問いと結び付きながら、日本社会に意識的・無意識的に根づいている人種主義の現状を具体的な事例をもとに明らかにする。差別、偏見とステレオタイプ、アイデンティティなどの視点から、個人の日常的な意識や振る舞いに人種主義が否応なく結び付いていることも浮き彫りにする。 国際的・領域横断的に蓄積されてきた人種主義に関する議論をまとめ、「私たちの問題」として日本の人種主義を考える視点を提供する入門書。 【目次】 はじめに 第1章 欧米の人種概念 1 人種の概念化 2 人種と科学 3 人種からエスニシティへ 4 人種、エスニシティ、ネイション 第2章 日本の人種概念 1 人種の登場 2 民族とフォルク 3 人種から民族へ 4 民族から「日本人」へ――単一民族神話の定着 5 一九九〇年代以降の「日本人」 第3章 人種混淆 1 二十世紀初頭までの欧米の議論 2 中南米の人種混淆 3 二十世紀以降の欧米の議論 4 戦前日本の議論 5 戦後日本の議論 6 一九六〇年代以降の日本の議論 第4章 多様な人種主義 1 生物的・科学的人種主義から文化的人種主義へ 2 制度的人種主義と人種なき人種主義 3 戦前日本の人種主義 4 戦後日本の人種主義――イデオロギー的側面 5 戦後日本の人種主義――構造的側面 第5章 差別 1 差別とは 2 日常の人種主義、マイクロアグレッション、人種主義の否認 3 交差(インターセクショナリティ) 第6章 偏見とステレオタイプ 1 偏見の捉え方の変遷 2 偏見としての人種主義 3 ステレオタイプの二つの特徴 4 イデオロギーとしてのステレオタイプ 第7章 アイデンティティ 1 自己と他者 2 マイノリティとアイデンティティ 3 アイデンティティと言説 4 マジョリティ性 人種主義に関する用語一覧 おわりに
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悪口論 脅しと嘲笑に対抗する技術
¥2,640
著者:小峰ひずみ 発行元:百万年書房 248ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 私たちは社会を賢くしなければならないのであって、あなたが賢くなる必要はない。 『平成転向論 SEALDs 鷲田清一 谷川雁』著者が、哲学対話をきっかけに考えた「悪口」という戦術。 【目次】 第一章 感情論 Ⅰ 男根主義 Ⅱ 感情 Ⅲ 連帯 Ⅳ 力 Ⅴ 問題 第二章 悪口論 Ⅰ 職場で Ⅱ 政治運動で Ⅲ 悪口 Ⅳ 狂信者 Ⅴ レーニン 第三章 (生き)恥論 Ⅰ 恥 Ⅱ 罵倒 Ⅲ 仲間 Ⅳ 死 Ⅴ 裏切り 第四章 言行論 Ⅰ シェアハウス Ⅱ シニシズム Ⅲ 技術 Ⅳ 臨床哲学 第五章 何をいかに受け継ぐべきか Ⅰ 対話 Ⅱ 嘲笑 Ⅲ 社会 Ⅳ 物語 Ⅴ 誰でも、いつでも、どこでも Ⅵ ブーメラン 悪口論--脅しと嘲笑に対抗する技術 注釈
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ヘルシンキ 生活の練習はつづく
¥1,980
SOLD OUT
著者:朴沙羅 発行元:筑摩書房 336ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** これが、ガチの多様性――。 「1日8時間労働だったら、3時間ちょっと、ぼんやりしてください」ふたりの子どもと北欧へ渡った社会学者による、現地レポート。 【目次】 はじめに 1 大人と働く 2 戦争と平和(前編) 3 戦争と平和(後編) 4 特殊なのは誰か 5 見えないルール 6 エリライシアが普通 7 みんなのための善いこと おわりに 注
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夜明けを待つ
¥1,980
SOLD OUT
著者:佐々木涼子 発行元:集英社インターナショナル 発売元:集英社 272ページ 195mm × 138mm ハードカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 生と死を見つめ続けてきたノンフィクション作家の原点がここに! 私たちは10年という長い年月を、とことん「死」に向き合って生きてきた。 しかし、その果てにつかみとったのは、「死」の実相ではない。 見えたのは、ただ「生きていくこと」の意味だ。 親は死してまで、子に大切なことを教えてくれる。 (第1章「『死』が教えてくれること」より) 家族、病、看取り、移民、宗教……。 小さき声に寄り添うことで、大きなものが見えてくる。 『エンジェルフライト』『紙つなげ!』『エンド・オブ・ライフ』『ボーダー』……。 読む者の心を揺さぶる数々のノンフィクションの原点は、 佐々涼子の人生そのものにあった。 ここ10年に書き溜めてきたエッセイとルポルタージュから厳選! 著者初の作品集。
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パトリックと本を読む 絶望から立ち上がるための読書会
¥2,860
著者:ミシェル・クオ 訳者:神田由布子 発行元:白水社 393ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 人生と社会のどん底から抜け出すための読書会 罪を犯したかつての教え子を救うために何ができるか。読書の喜びを通して、貧困からくる悪循環にあえぐ青年の心に寄り添った法律家の記録。 ハーバード大学を卒業した著者は、ロースクールへ進む前に、アメリカ南部の最貧地域の町で2年間、ボランティアの教師となることを決める。だが、劣悪な環境で育った黒人の生徒たちに読書を通じて学ぶ楽しさを教え、誇りを持たせたいという著者の理想は、最初からつまずく。読書以前に、生徒たちの読み書き能力は年齢よりはるかに劣っていたのだ。自治体に予算がなく人々に職のない小さな町で、生徒は将来を思い描けず、学校は生徒を罰することしか考えていない。それでも著者の奮闘の甲斐あって生徒たちは本に親しみはじめるが、当局の方針によって学校が廃校になってしまう。 ロースクールへ進んだ著者はある日、もっとも才能のあった教え子、パトリックが人を殺したという知らせを受ける。数年ぶりの彼は読み書きもおぼつかず、自分が犯した過ちに比べて重すぎる罪に問われていることが理解できていなかった。かつての聡明さを失った姿に衝撃を受けた著者は、拘置所を訪ねてともに本を読むことで、貧困からくる悪循環にあえぐ青年の心に寄り添おうとする。同時にそれは、ひとりの教師・法学生の自己発見と他者理解をめぐる、感動的な記録ともなった。 【目次】 序章 第一部 第1章 ア・レーズン・イン・ザ・サン 第2章 自由に書いてみる 第3章 次は火だ 第二部 第4章 イワン・イリイチの死 第三部 第5章 罪と罰 第6章 ライオンと魔女と衣装だんす 第7章 天の衣を求める 第8章 フレデリック・ダグラス自叙伝 第9章 有罪の答弁 第10章 晩春のポーラに 第四部 第11章 イースターの朝 参考文献 謝辞 訳者あとがき