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新版 映画の構造分析
¥2,420
著者:内田樹 発行元:晶文社 332ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 映画に隠された驚くべき物語構造を読み解く、 スクリーンから学べる現代思想、精神分析、ジェンダー。 大幅増補の決定版映画論。 物語には構造があり、映画にも構造がある。そして映画の構造を知ることが、人間の欲望の構造を知ることにつながる……。『エイリアン』『大脱走』『裏窓』などハリウッド映画の名作を題材にした映画論にして、ラカンやフーコーなど現代思想の入門テキストとして高い評価を受けた旧版『映画の構造分析』に、『君たちはどう生きるか』『ドライブ・マイ・カー』『怪物』『福田村事件』など、近年の話題作を分析した論考を大幅増補した決定版映画論。〔2003年初版〕 【目次】 新版へのまえがき まえがき ■第1章 映画の構造分析 0 物語と構造 1 テクストとしての映画 2 欠性的徴候 3 抑圧と分析的知性 4 「トラウマ」の物語 ■第2章 「四人目の会席者」と「第四の壁」 ■第3章 アメリカン・ミソジニー──女性嫌悪の映画史 ■第4章 そして映画は続く 『ゴッドファーザー』と『北の国から』 『君たちはどう生きるか』をどう観るか 「父」からの離脱の方位──『1Q84』論 『ハナレイ・ベイ』のためのコメント 『ドライブ・マイ・カー』の独創性 『ノルウェイの森』の時代感覚 『ハウルの動く城』を観に行く 『怪物』について 『福田村事件』へのコメント 『愛の不時着』──男性目線と女性目線の交錯 『冬のソナタ』──予定調和的な宿命 『秋日和』──非婚は彼女たちの意思ではない 『精神0』──それに人間は抗うことができない 『演劇1』『演劇2』──演劇の平田オリザ、映画の想田和弘 『三島由紀夫VS東大全共闘』──政治の季節の予感 『プレシャス』──史上初の男性嫌悪映画 『バービー』──哲学的な映画 デヴィッド・リンチ追悼 オリジナル版のあとがき 新版のためのあとがき 解説 「お話を一つ思いつく」を巡って 春日武彦
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シネパトグラフィー 映画の精神分析
¥3,080
編者:小林聡幸 著者:小林陵/斎藤環/濱田伸哉/丸谷俊之/大島一成 発行元:アルテスパブリッシング 360ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 「あのシーン」の深層には何がひそんでいたのか── 気鋭の精神科医、心理学者が映画作家の精神の内奥にせまる。 斎藤環によるデイヴィッド・リンチ論を収載! 天才とよばれる傑出した人物の創造性と病理との関係を精神医学的・心理学的に解き明かす「病跡学(パトグラフィー)」の手法で、映画作品や作家たちの謎にせまる。 斎藤環によるデイヴィッド・リンチ論をはじめ、P.T.アンダーソン、ロブ゠グリエ、クローネンバーグ、ユスターシュ、ファスビンダー、キム・ギドク、コルンゴルトなどの生涯と作品を、気鋭の精神科医、心理学者が分析。映画作家たちがいかにして自らの内奥に秘めた病理を不朽の作品へと昇華させていったか、その創造の秘密に肉迫する。 いままで見えていなかったものが見えてくる。映画の観方が変わる! 【目次】 口上 シアター1 網膜と緞帳 シネパトグラフィー宣言(小林聡幸) ロールシャッハ・テストのように映画を観る(小林 陵) シアター2 紋様と隠蔽 デイヴィッド・リンチ 強度の技法(斎藤 環) 中心気質的/発達障害的シグナリング──ポール・トーマス・アンダーソンの映像作品における二重のコスト構造(濱田伸哉) シアター3 倒錯と果報 ロブ゠グリエに見るオタク・カップルの幸福論(丸谷俊之) デイヴィッド・クローネンバーグ──触れることの倫理(小林聡幸) シアター4 生命と偽装 ジャック・ダニエルとともに──ジャン・ユスターシュの人生と映画(丸谷俊之) ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの生涯と作品(大島一成) シアター5 追放と結晶 キム・ギドクは「悪い男」だったのか?(小林 陵) エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト──ハリウッドの作曲家の偉大な凡庸(小林聡幸) エンドロール 映像作品名索引 主要人名索引
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不完全な社会をめぐる映画対話 映画について語り始めるために
¥2,640
SOLD OUT
著者:河野真太郎 発行元:堀之内出版 368ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** こんな映画本を待っていた! 「陰謀論」、「ハラスメント」、「ケア」、「ミソジニー」、「障害」etc...テーマに沿って、現代映画を社会的な視点で語るスリリングな対談。 「好きだった監督がハラスメントで告発されたとき、作品にどう向き合えばよいのか?」「一昔前の作品を見るとジェンダー観に違和感を覚えて楽しめない」等、近年多くの人が直面した問題に寄り添いながら、映画と社会の関係を深く見通す。誰もが感想をSNSで発信し、映画を見ることがコミュニケーションに組み込まれつつある現代で、映画と社会はどのような関係にあるのだろうか?映画を「観る」だけでなく、「語る」ことの比重が増す社会における、新たな地平を描く。 【目次】 まえがき──映画と社会についての短い個人史 西口想 【対話1】ハラスメントがある世界で、いかに作品と向き合うか もはやハラスメントの教科書?──『セッション』 「ハラスメントを気にしていたらいい作品は生まれない」というメッセージ いま見ると気になる描写も多いフェミニズム映画──二〇〇〇年代の代表作『スタンドアップ』 社会進出は進んだけれど……──女性たちのリアル 監督のハラスメントをどう考えるか? 被害者と加害者の訴えは「五分五分」ではない 批判がないと、作品が死ぬ──過去の作品をどう評価するか? トランスジェンダー表象の変遷と発展──『トランスジェンダーとハリウッド』 かつて批判されたパターンを踏襲する日本のトランス表象──『ミッドナイトスワン』 「クリーン」な現場で生まれる作品はつまらない? コラム ミーガン・トゥーイーの悪夢 西口想 【対話2】「シャカイ」を描くセカイ系──新海誠作品を読み解く 新海作品で描かれる感性的なもの キャラクターの背景を描かない 「大丈夫」というメッセージの変質 バニラトラックを描くことが、社会を描くことなのか 村上春樹の男性性と帆高 ミソジニーを脱却できない「男の成長物語」 コラム セカイとシャカイのあいだで──新海誠と宮﨑駿 河野真太郎 【対話3】社会を描くとはどういうことか──ケン・ローチ作品 希望のないラストの衝撃 ラストに至るまでの「希望」 家族しかいないことの絶望 ケン・ローチが描いてきた家族 時事性に回収されない、ケン・ローチの作家性 個人の成功をあえて描かない 「ケアラーなのに悪態をついてごめんなさい」 ケン・ローチが描く女性と男性 ケン・ローチと是枝裕和──作品の違い、社会の違い 映画が社会的であるということはどういうことか 個人を描くことから始める 【対話4】陰謀論は、お好きですか? 『ドント・ルック・アップ』と陰謀論 陰謀論はどう変化してきたか? 陰謀論とキリスト教の切っても切れない関係 ネオリベラリズムと大富豪──ハデンとイッシャーウェル ヒロイン像の変化──ミソジニー描写を通じて 一九九〇年代を代表する陰謀論映画──『ファイト・クラブ』『マトリックス』『アメリカン・サイコ』 マルチバースと陰謀論──『マトリックス』とマーベル作品 陰謀論にどう立ち向かうか──『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』 家族主義的な「愛」に対する違和感 さまざまな映画オマージュが持つ意味 ありえた可能性のなかで最低の人生 映画は常に陰謀論と隣り合う 【対話5】それは誰のための映画か──障害と物語 障害を扱った感動作──『コーダ あいのうた』 感動のために障害者を搾取していないかを考える 『コーダ』は誰のための映画か? 健常者向け/障害者向けという線引きの先に コミュニティからの離脱をどう描くか──『リトル・ダンサー』と『コーダ』 新自由主義下の障害者政策 社会がつくりだす障害 一般化できない経験にどう向き合うか 「私の物語は私のもので、コーダにしかわからない」 「ろう者として生まれたかった」は何を意味するのか ケアラーをケアするのは誰か コラム 『ケイコ 目を澄ませて』と障害者のワークフェア 河野真太郎 【対話6】「当事者」が演じることについて──移民・難民と映画 日本で生活する移民たち──『マイスモールランド』 世代間トラウマを乗り越える──『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』再び 繰り返し主題になってきた世代間トラウマ 当事者性と創作の関係 悪意なき差別を丁寧に描く 「見えていない」が、確かに存在する移民社会 社会派映画はなぜ失敗するのか──手法の難しさ 当事者が表に立つ重要性と危険性 「当事者」とは誰なのか 鍵となる概念──インターセクショナリティ コラム 現在地としての『ファミリア』 西口想 【対話7】ケアと男性性──苦悩する男たち ケアと男性性──『ドライブ・マイ・カー』 人間の多重性・矛盾を受け入れること ホモソーシャリティを切り崩す多声性 暴力性が外部化された人物造形 イクメンになる男、最初からイクメンの男──『クレイマー、クレイマー』『マリッジ・ストーリー』 障害と男性性──『アイ・アム・サム』の障害表象 養育権をめぐる法廷闘争──『マリッジ・ストーリー』 解決されない暴力性 コラム 『カモン カモン』とイクメン物語のゆくえ 河野真太郎 【対話8】映画のなかのミソジニー──能力と傷をめぐって ポピュラー・フェミニズムとポピュラー・ミソジニー──#MeToo以降のヒット作を読み解くキーワード 失われた地位を「取り戻す」物語 『ジョーカー』のポピュリズムをどう捉えるか? 原作にはなかった階級性、地域性を織り込む映画たち 「格差」に比べて、あまり意識されない「階級」 弱者男性にとっての父親──『ジョーカー』『バーニング』 いまさら父を越えている場合じゃない──『パラサイト』の親子関係 メリトクラシー社会が崩壊した先の女性たち 【対話9】ファッションを通じて何を描く? 映画に衣装は欠かせない 「お針子」映画とブランド創業者の映画 ポストフェミニズム映画の重要作品──『プラダを着た悪魔』 『プラダを着た悪魔』を上書きする『クルエラ』 女性ヴィランの暴力をどう描くか? 仲良く過ごすために毒を盛る?──『ファントム・スレッド』 ファスト・ファッションの時代に映画は何を描くか? コラム 「透明人間」の夢 西口想 【対話10】おいしい映画──ジェンダー・料理・労働 さまざまな文脈が託される「料理」のシーン 2つの類型──「シェフ」の物語と「料理研究家」の物語 料理の過程を見せる作品/出来上がった皿を見せる作品 料理の描写と性描写の重なり 料理とジェンダー──求められる男性像の変化 不完全な人間でよい、という提案 主婦とバリキャリ女性の対比 半径五メートルの世界を快適に整える現代性 レシピを介して、目の前にいない誰かとつながってゆく レシピと「コモン・カルチャー」 【対話11】 住むこと、住まいを失うこと ケン・ローチのエッセンスを継ぐ作品──『サンドラの小さな家』 生活の基盤としての「家」を問う 偶然でしかつながれない?──階級コミュニティなき時代のコミュニティ ケン・ローチが描く「家」の意味──『SWEETSIXTEEN』 金融危機で消失した家とコミュニティ──『ノマドランド』 公共・福祉の稀薄さから見えるアメリカ社会 家の獲得に紐づいた男性像と、女性のセキュリティ 人間にとって「家」とは何か、「老い」とは何か──『ミナリ』『ファーザー』 「働き続ける主体」という幻想 コミュニケーションとしての映画──あとがきにかえて 河野真太郎
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映像のポエジア 刻印された時間(ちくま学芸文庫)
¥1,650
著者:アンドレイ・タルコフスキー 訳者:鴻英良 発行元:筑摩書房 416ページ 文庫判 148mm × 105mm *********************** 出版社紹介文より *********************** 『惑星ソラリス』『鏡』『ノスタルジア』『サクリファイス』……。 透徹した精神性と至高の映像美で、独自の映画世界を作り上げたタルコフスキー(1932-1986)。死去するまでの20年間、彼は映画をめぐる思索を膨大に書き残していた。内面へ深く沈潜しつつ、時に自作を、時にブレッソン、ベルイマン、黒澤ら外国人監督を論じていく。 本書は、訳者がタルコフスキー夫人ラリサ(1938-1998)から送られたタイプ原稿を基に訳出された、日本オリジナル版である(同時期に、ドイツ語版・英語版も出る。当時のソ連ではタルコフスキーは著作を公刊できなかった)。映画を超えて、芸術そのものに関心を持つすべての人に届けたい名著。 【目次】 序章 第1章 はじまり 第2章 芸術―理想への郷愁 第3章 刻印された時間 第4章 使命と宿命 第5章 映像について 第6章 作家は観客を探究する 第7章 芸術家の責任 第8章 『ノスタルジア』のあとで 第9章 『サクリファイス』 終章
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ホラー映画の科学 悪夢を焚きつけるもの
¥2,750
著者:ニーナ・ネセス 訳者:五十嵐加奈子 発行元:フィルムアート社 352ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** ホラー映画を見るとき、私たちの脳・心・身体で何が起こっているのか? モンスター、暴力、トラウマ、音……さまざまな切り口から、脳科学や心理学で〈恐怖〉のしくみを解き明かす もっと眠れなくなること必至の、ホラー映画×科学の世界! 私たちはなぜ、ホラー映画という〝悪夢の燃料〟を求めるのか? 私たちの脳や身体はホラー映画の何に恐怖を感じ、どのように反応するのか? 本書では、科学コミュニケーターとして活動する著者が多彩なホラー映画を例に、人が恐怖を感じ、脅威に対処するメカニズムを紹介。脳科学・心理学・神経科学・生物学の知見から、〈恐怖〉のさまざまな側面を明らかにする。 登場する映画は、『サイコ』『エクソシスト』など古典的名作から、『ヘレディタリー/継承』『アス』『クワイエット・プレイス』など現代のヒット作まで約300本。サイコ、SF、スラッシャー、スプラッター、クリーチャー、オカルトなどのサブジャンルを縦横無尽に扱いながら、ホラー映画の歴史もおさらい。いかに映画における〈恐怖〉が作り出されてきたのか、そして私たち観客はいかにそれを受け取るのかに迫る。 各章には、ひとつの作品を掘り下げるコラムと、映画の製作者や研究者へのインタビューも収録。尽きることのないホラーの魅力を存分に楽しめること間違いなし。 【目次】 はじめに ホラーを定義する難しさ 第一章 恐怖を感じると、脳はこうなる 脅威 ジャンプスケア 【注目作品】『キャット・ピープル』(42/ジャック・ターナー監督) 嫌悪感 映画で見る恐怖 【注目作品】『ヘレディタリー/継承』(18/アリ・アスター監督) 【インタビュー】ジェイミー・カークパトリック(映画編集者) 第二章 ホラー映画の歴史 静かな恐怖 初期のホラー映画(1890年代頃‐1920年代初頭) 全盛には至らない時期(1920年代‐30年代) 原子力の登場(1940年代‐50年代) 他人という悪魔(1960年代) 暴力的な結末(1960年代後半‐70年代) 【注目作品】『暗闇にベルが鳴る』(74/ボブ・クラーク監督) スラッシャー、悪魔系パニック、ビデオ・ナスティ(1980年代) ホラー映画の……低迷?(1990年代) 新たなミレニアムに向けたホラー映画(2000年代) 現在のホラー映画と今後の展望(2010年代以降) 【インタビュー】アレクサンドラ・ウェスト(映画研究者) 第三章 モンスターの作り方 【注目作品】『遊星からの物体』(82/ジョン・カーペンター監督) 捕食者としてのモンスター 【注目作品】『エイリアン』(79/リドリー・スコット監督) 人間(または人間のような)モンスター 永遠のモンスター 第四章 耳からの恐怖 【注目作品】『クワイエット・プレイス』(18/ジョン・クラシンスキー監督) 不協和音 人の可聴域ぎりぎりの音 【注目作品】『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(99/ダニエル・マイリック、エドゥアルド・サンチェス監督) 叫び 【インタビュー】ローネン・ランダ(映画音楽作曲家) 第五章 恐怖が付きまとう理由 【注目作品】『ジョーズ』(75/スティーヴン・スピルバーグ監督) 人はどのように恐怖を抱きはじめるのか? 【注目作品】『鮮血の美学』(72/ウェス・クレイヴン監督) どうすれば恐怖心がなくなるか? 【インタビュー】メアリー・ベス・マッカンドリューズ(ホラー・ジャーナリスト)&テリー・メスナード(クリエイター) 第六章 暴力的メディアと暴力行為 【注目作品】『チャイルド・プレイ3』(91/ジャック・ベンダー監督) 誰か、子どもたちのことを考えてくれませんか? 感度の低下 ホラー映画はより暴力的になっているのか? 第七章 血、ゴア、ボディホラー 身体の内側からの暴力 身体の外側からの暴力 見えない場面 血みどろなほどいいのか? 【注目作品】『サスペリアPART2』(75/ダリオ・アルジェント監督) 目にまつわる恐怖 【インタビュー】ジョン・フォーセット(映画監督) 第八章 ホラーの変わらぬ魅力 万人のためのホラー ホラー愛は遺伝するのか? 刺激欲求 カタルシス説 恐怖に寄り添う 【インタビュー】アレクサンドラ・ヘラー=ニコラス(映画評論家) あとがき 謝辞 訳者あとがき
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仁義なきヤクザ映画史
¥2,365
著者:伊藤彰彦 発行元:文藝春秋 312ページ 193mm × 135mm ハードカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 血沸き肉躍るアウトロー映画の歴史 「死んでもらいます」 健さんが斬る! 「弾はまだ残っとるがよう」文太が吠える! 任俠の起点たる『忠次旅日記』に始まり、『仁義なき戦い』を経て、『孤狼の血』に至るまで、執念の取材でヤクザ映画100年余の修羅に踏み込む。そこに映し出される「暴力の近現代史」を描き上げる画期的労作。 【本書に登場する作品】 「日本映画最初の侠客」尾上松之助『侠客 祐天吉松』(1910)/「落ちていく無頼漢」大河内傳次郎『忠次旅日記』(1927)/「野良犬でなく狼になれ」高橋英樹『狼の王子』(1963)/「死んでもらいます」高倉健『昭和残侠伝』シリーズ(1965~1972)/「インテリヤクザ」安藤昇『血と掟』(1965)/「底知れない虚無」市川雷蔵『ひとり狼』(1968)/「何かギラギラするもの」千葉真一『日本暗殺秘録』(1969)/「ヤクザの青春群像劇」菅原文太『仁義なき戦い』(1972)/「差別のタブーに踏み込む」高島礼子『極道の妻たち 死んで貰います』(1999)/「在日コリアンヤクザ登場」北野武『アウトレイジ 最終章』(2017)/「全編広島ロケ」役所広司『孤狼の血』(2018)/「任侠ファンタジー」本宮泰風『日本統一』(2019)/「元ヤクザの更生」役所広司『素晴らしき世界』(2021)etc.
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ナウシカ考 風の谷の黙示録
¥2,420
SOLD OUT
著者:赤坂憲雄 発行元:岩波書店 374ページ 194mm × 135mm ハードカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 一九八二年から雑誌『アニメージュ』に連載され、映画版の制作を挟み九四年に完結した、宮崎駿の長編マンガ『風の谷のナウシカ』。 この作品の可能性の種子は、時代の喘ぎのなか、いま、芽生えと育ちの季節を迎えようとしているのかもしれない――。多くの人に愛読されてきたこのマンガを、二十余年の考察のもと、一篇の思想の書として徹底的に読み解く。 【目次】 はじめに 第一章 西域幻想 1 秘められた原点 アニメとマンガのあいだ はじまりの風景から 宮崎駿の種子をもとめて 2 神人の土地へ 小さな谷の王国 旅立ちのときに 奴隷とはなにか,という問いへ 第二章 風の谷 1 風の一族 部族社会としての風の谷 腐海のほとりに暮らす 風車とメーヴェのある風景 2 蟲愛ずる姫 背負う者の哀しみとともに ギリシャ神話のなかの原像 血にまみれた航海者との出会い 3 子守り歌 孤児たちの物語の群れ あらかじめ壊れた母と子の物語 擬態としての母を演じる 4 不思議な力 物語られる少女の肖像 境界にたたずむ人 王蟲の心を覗くな,という 第三章 腐 海 1 森の人 水と火と調和にかけて 火を捨てて,腐海へ 世界を亡ぼした火とともに 2 蟲使い たがいに影として森に生きる 武器商人から穢れの民へ 森が生まれるはじまりの朝に 3 青き衣の者 ふたつの歴史の切断があった 邪教と予言が顕われるとき 犠牲,または自己犠牲について 4 黒い森 腐海の謎を読みほどくために 第三の自然としての腐海 喰う/喰われる,その果てに 第四章 黙示録 1 年代記 年代記と語りと声と いくつかの歴史語りが交叉する 文字による専制が産み落とした偽王たち 2 生命をあやつる技術 悪魔の技の封印がほどかれる 帝国を支える宗教的呪力の源泉として 対話篇,シュワの庭にて 3 虚無と無垢 呪われた種族の血まみれの女 内なる森を,腐海の尽きるところへ 名づけること,巨神兵からオーマへ 4 千年王国 千年という時間を抱いて 墓所の主との言葉戦いから 物語の終わりに 終 章 宮崎駿の詩学へ おもな参考文献 あとがき
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ホラーの哲学 フィクションと感情をめぐるパラドックス
¥3,520
SOLD OUT
著者:ノエル・キャロル 訳者:高田敦史 発行元:フィルムアート社 500ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 分析美学の第一人者であり、映画・大衆芸術(マス・アート)研究の分野でも活躍するノエル・キャロルによる、ホラーの哲学の初めての体系的著作。 『フランケンシュタイン』『ジキル博士とハイド氏』『ドラキュラ』『エクソシスト』『オーメン』『エイリアン』、さらにはH・P・ラヴクラフト、スティーヴン・キング、クライヴ・バーカー、シャーリイ・ジャクスンなど…… 本書では、古典的名作から現代のヒット作品、さらには無名のB級作品まで、膨大な作品群を縦横無尽に取り上げながら、ホラーとは何か、その本質や定義、物語構造とプロット分析、ホラーの魅力、さらにはホラーモンスターの作り方についてなどを論じる。 そして、哲学的な観点から、存在しないとわかっているものをなぜ怖がってしまうのか(フィクションのパラドックス)、また、恐怖を与えるホラー作品をなぜわざわざ求めるのか(ホラーのパラドックス)について考察する。 吸血鬼、ゾンビ、人狼、悪魔憑きの子ども、人造人間、スペースモンスター、幽霊、その他の名もなき怪物たちが、なぜわたしたちの心を摑んで離さないのか。 フィクションの哲学、感情の哲学、ポピュラーカルチャー批評を駆使して、その不思議と魅力の解明に挑む! 【目次】 謝辞 序 本書が置かれた文脈/ホラージャンル摘要/ホラーの哲学とは? 第1章 ホラーの本質 ホラーの定義 まえおき 感情の構造について アートホラーを定義する アートホラーの定義に対するさらなる反論と反例 幻想の生物学とホラーイメージの構造 要約と結論 第2章 形而上学とホラー、あるいはフィクションとの関わり フィクションを怖がる──そのパラドックスとその解決 フィクション錯覚説 フィクション反応のフリ説 フィクションへの感情反応の思考説 要約 キャラクター同一化は必要か 第3章 ホラーのプロット ホラープロットのいくつかの特徴 複合的発見型プロット バリエーション 越境者型プロットおよびその他の組み合わせ 典型的ホラー物語が与えるもの ホラーとサスペンス 疑問による物語法/サスペンスの構造 幻想 第4章 なぜホラーを求めるのか? ホラーのパラドックス 宇宙的畏怖、宗教的経験、ホラー ホラーの精神分析 ホラーの魅力の一般理論と普遍理論 ホラーとイデオロギー ホラーの現在 訳者解説
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映画術 その演出はなぜ心をつかむのか
¥2,530
SOLD OUT
著者:塩田 明彦 発行元:イースト・プレス 255ページ 193mm × 135mm ハードカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 視線、表情、声、動きはここまで計算されていた! 観る者を魅了する人物は、どのように作られるのか? 映画監督の著者が、偏愛するさまざまなシーンを取り上げながら、心をつかむ<演技と演出>の核心に迫る連続講義。 【目次】 第一回 動線 第二回 顔 第三回 視線と表情 第四回 動き 第五回 古典ハリウッド映画 第六回 音楽 第七回 ジョン・カサヴェテスと神代辰巳 あとがき
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サスペンス映画史
¥3,740
著者:三浦哲哉 発行元:みすず書房 328ページ 188mm × 128mm ハードカバー ~出版社紹介文より~ 「ひとは何を求めて映画を見るのか。自由の幻想を求めてである、という答えが第一にありうるだろう。(…)しかし、それだけではない。自由ではなく不自由の体験を観客に与えようとするフィルム群があることは、誰しもが知るところであるだろう」 “サスペンス”とは、宙吊りの状態、未決定の状態に置かれること。登場人物および観客をもそんな状態に巻き込むのが、サスペンス映画である。ひとはなぜ自らすすんで、そんな不自由と恐怖を求めて映画を見るのか。 感情移入とカタルシスに基づく説話論的サスペンス理解を超えて、確かな足場のない宙吊りの不安、さらには不安がもたらす魅惑を、サスペンス映画はさまざまに組織し、洗練し、そして継承してきた。 「不安が最終的に解消されることなどけっしてなく、(…)ヒッチコック的な眼差しを経由したいま、日常は、映画館の外においても、つねにすでに犯罪を抱え込んだものとして現れる」 グリフィス、セネット、キートン、ラング、ウェルズ、ターナー、ヒッチコック、スピルバーグからイーストウッドまで、斬新な映像分析、小気味よい論理展開、息づまる(映画的な)場面描写によって、新たな映画の見方を提示する。表象文化論の新鋭による、読み物としても第一級の映画史。