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不完全な社会をめぐる映画対話 映画について語り始めるために

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著者:河野真太郎
発行元:堀之内出版
368ページ
188mm × 128mm ソフトカバー

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  出版社紹介文より
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こんな映画本を待っていた!

「陰謀論」、「ハラスメント」、「ケア」、「ミソジニー」、「障害」etc...テーマに沿って、現代映画を社会的な視点で語るスリリングな対談。

「好きだった監督がハラスメントで告発されたとき、作品にどう向き合えばよいのか?」「一昔前の作品を見るとジェンダー観に違和感を覚えて楽しめない」等、近年多くの人が直面した問題に寄り添いながら、映画と社会の関係を深く見通す。誰もが感想をSNSで発信し、映画を見ることがコミュニケーションに組み込まれつつある現代で、映画と社会はどのような関係にあるのだろうか?映画を「観る」だけでなく、「語る」ことの比重が増す社会における、新たな地平を描く。

【目次】
まえがき──映画と社会についての短い個人史 西口想



【対話1】ハラスメントがある世界で、いかに作品と向き合うか

もはやハラスメントの教科書?──『セッション』

「ハラスメントを気にしていたらいい作品は生まれない」というメッセージ

いま見ると気になる描写も多いフェミニズム映画──二〇〇〇年代の代表作『スタンドアップ』

社会進出は進んだけれど……──女性たちのリアル

監督のハラスメントをどう考えるか?

被害者と加害者の訴えは「五分五分」ではない

批判がないと、作品が死ぬ──過去の作品をどう評価するか?

トランスジェンダー表象の変遷と発展──『トランスジェンダーとハリウッド』

かつて批判されたパターンを踏襲する日本のトランス表象──『ミッドナイトスワン』

「クリーン」な現場で生まれる作品はつまらない?



コラム ミーガン・トゥーイーの悪夢 西口想


【対話2】「シャカイ」を描くセカイ系──新海誠作品を読み解く

新海作品で描かれる感性的なもの

キャラクターの背景を描かない

「大丈夫」というメッセージの変質

バニラトラックを描くことが、社会を描くことなのか

村上春樹の男性性と帆高

ミソジニーを脱却できない「男の成長物語」


コラム セカイとシャカイのあいだで──新海誠と宮﨑駿 河野真太郎


【対話3】社会を描くとはどういうことか──ケン・ローチ作品

希望のないラストの衝撃

ラストに至るまでの「希望」

家族しかいないことの絶望

ケン・ローチが描いてきた家族

時事性に回収されない、ケン・ローチの作家性

個人の成功をあえて描かない

「ケアラーなのに悪態をついてごめんなさい」

ケン・ローチが描く女性と男性

ケン・ローチと是枝裕和──作品の違い、社会の違い

映画が社会的であるということはどういうことか

個人を描くことから始める


【対話4】陰謀論は、お好きですか?

『ドント・ルック・アップ』と陰謀論

陰謀論はどう変化してきたか?

陰謀論とキリスト教の切っても切れない関係

ネオリベラリズムと大富豪──ハデンとイッシャーウェル

ヒロイン像の変化──ミソジニー描写を通じて

一九九〇年代を代表する陰謀論映画──『ファイト・クラブ』『マトリックス』『アメリカン・サイコ』

マルチバースと陰謀論──『マトリックス』とマーベル作品

陰謀論にどう立ち向かうか──『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

家族主義的な「愛」に対する違和感

さまざまな映画オマージュが持つ意味

ありえた可能性のなかで最低の人生

映画は常に陰謀論と隣り合う


【対話5】それは誰のための映画か──障害と物語

障害を扱った感動作──『コーダ あいのうた』

感動のために障害者を搾取していないかを考える

『コーダ』は誰のための映画か?

健常者向け/障害者向けという線引きの先に

コミュニティからの離脱をどう描くか──『リトル・ダンサー』と『コーダ』

新自由主義下の障害者政策

社会がつくりだす障害

一般化できない経験にどう向き合うか

「私の物語は私のもので、コーダにしかわからない」

「ろう者として生まれたかった」は何を意味するのか

ケアラーをケアするのは誰か


コラム 『ケイコ 目を澄ませて』と障害者のワークフェア 河野真太郎


【対話6】「当事者」が演じることについて──移民・難民と映画

日本で生活する移民たち──『マイスモールランド』

世代間トラウマを乗り越える──『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』再び

繰り返し主題になってきた世代間トラウマ

当事者性と創作の関係

悪意なき差別を丁寧に描く

「見えていない」が、確かに存在する移民社会

社会派映画はなぜ失敗するのか──手法の難しさ

当事者が表に立つ重要性と危険性

「当事者」とは誰なのか

鍵となる概念──インターセクショナリティ


コラム 現在地としての『ファミリア』 西口想


【対話7】ケアと男性性──苦悩する男たち

ケアと男性性──『ドライブ・マイ・カー』

人間の多重性・矛盾を受け入れること

ホモソーシャリティを切り崩す多声性

暴力性が外部化された人物造形

イクメンになる男、最初からイクメンの男──『クレイマー、クレイマー』『マリッジ・ストーリー』

障害と男性性──『アイ・アム・サム』の障害表象

養育権をめぐる法廷闘争──『マリッジ・ストーリー』

解決されない暴力性


コラム 『カモン カモン』とイクメン物語のゆくえ 河野真太郎


【対話8】映画のなかのミソジニー──能力と傷をめぐって

ポピュラー・フェミニズムとポピュラー・ミソジニー──#MeToo以降のヒット作を読み解くキーワード

失われた地位を「取り戻す」物語

『ジョーカー』のポピュリズムをどう捉えるか?

原作にはなかった階級性、地域性を織り込む映画たち

「格差」に比べて、あまり意識されない「階級」

弱者男性にとっての父親──『ジョーカー』『バーニング』

いまさら父を越えている場合じゃない──『パラサイト』の親子関係

メリトクラシー社会が崩壊した先の女性たち


【対話9】ファッションを通じて何を描く?

映画に衣装は欠かせない

「お針子」映画とブランド創業者の映画

ポストフェミニズム映画の重要作品──『プラダを着た悪魔』

『プラダを着た悪魔』を上書きする『クルエラ』

女性ヴィランの暴力をどう描くか?

仲良く過ごすために毒を盛る?──『ファントム・スレッド』

ファスト・ファッションの時代に映画は何を描くか?


コラム 「透明人間」の夢 西口想


【対話10】おいしい映画──ジェンダー・料理・労働

さまざまな文脈が託される「料理」のシーン

2つの類型──「シェフ」の物語と「料理研究家」の物語

料理の過程を見せる作品/出来上がった皿を見せる作品

料理の描写と性描写の重なり

料理とジェンダー──求められる男性像の変化

不完全な人間でよい、という提案

主婦とバリキャリ女性の対比

半径五メートルの世界を快適に整える現代性

レシピを介して、目の前にいない誰かとつながってゆく

レシピと「コモン・カルチャー」


【対話11】 住むこと、住まいを失うこと

ケン・ローチのエッセンスを継ぐ作品──『サンドラの小さな家』

生活の基盤としての「家」を問う

偶然でしかつながれない?──階級コミュニティなき時代のコミュニティ

ケン・ローチが描く「家」の意味──『SWEETSIXTEEN』

金融危機で消失した家とコミュニティ──『ノマドランド』

公共・福祉の稀薄さから見えるアメリカ社会

家の獲得に紐づいた男性像と、女性のセキュリティ

人間にとって「家」とは何か、「老い」とは何か──『ミナリ』『ファーザー』

「働き続ける主体」という幻想


コミュニケーションとしての映画──あとがきにかえて 河野真太郎

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