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韓国文学の中心にあるもの
¥1,650
著者:斎藤真理子 発行元:イースト・プレス 328ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** なぜ、韓国文学はこんなに面白いのか。なぜ『82年生まれ、キム・ジヨン』は、フェミニズムの教科書となったのか。世界の歴史が大きく変わっていく中で、新しい韓国文学がパワフルに描いているものはいったい何なのか。その根底にあるのはまだ終わっていない朝鮮戦争であり、またその戦争と日本は深くつながっている。ブームの牽引者でもある著者が、日本との関わりとともに、詳細に読み解き、その面白さ、魅力を凝縮する。 (「まえがき」より) 『最近日本で、韓国文学の翻訳・出版が飛躍的に増えている。この現象は、読者の広範でエネルギッシュな支持に支えられたものだ。読者層は多様で、一言ではくくれないが、寄せられる感想を聞くうちに、読書の喜びと同時に、またはそれ以上に、不条理で凶暴で困惑に満ちた世の中を生きていくための具体的な支えとして、大切に読んでくれる人が多いことに気づいた。(中略)韓国で書かれた小説や詩を集中的に読む人々の出現は、ここに、今の日本が求めている何かが塊としてあるようだと思わせた。それが何なのか、小説を読み、また翻訳しながら考えたことをまとめたのが本書である。』 【目次】 まえがき 第1章 キム・ジヨンが私たちにくれたもの 『82年生まれ、キム・ジヨン』の降臨 キム・ジヨンは何を描いていたか みんなの思いが引き出されていく 「顔のない」主人公 キム・ジヨン以前のフェミニズム文学のベストセラー 大韓民国を支える男女の契約、徴兵制 冷戦構造の置き土産 キム・ジヨンのもたらしたもの 第2章 セウォル号以後文学とキャンドル革命 社会の矛盾が一隻の船に集中した 止まった時間を描く──キム・エラン「立冬」 キャンドル革命に立ち会う──ファン・ジョンウン『ディディの傘』 当事者の前で、寡黙で 傾いた船を降りて 無念の死に贈る鎮魂の執念 第3章 IMF危機という未曾有の体験 IMF危機とは何か 危機の予兆──チョン・イヒョン「三豊百貨店」 IMF危機が家族を変えた──キム・エラン「走れ、オヤジ殿」 「何でもない人」たちの風景──ファン・ジョンウン「誰が」 生き延びるための野球術 セウォル号はIMF危機の答え合わせ 第4章 光州事件は生きている 五・一八を振り返る 光州事件はなぜ生きているか 詩に描かれた光州事件 体験者による小説 決定版の小説、ハン・ガン『少年が来る』 遺体安置所の少年 死者の声と悪夢体験 死を殺してきた韓国現代史 『少年が来る』は世界に開かれている アディーチェの作品との類似性 さらに先を考えつづけるパク・ソルメ 歴史の中で立ち返る場所 第5章 維新の時代と『こびとが打ち上げた小さなボール』 「維新の時代」が書かせたベストセラー タルトンネの人々 都市開発と撤去民の歴史 『こびと』は一つのゲリラ部隊 物語を伝達する驚くべき構成 若者たちの心の声が響いてくる 生き延びた『こびと』 石牟礼道子とチョ・セヒ 興南から水俣へ、また仁川へ 『こびと』が今日の日本に伝えること 第6章 「分断文学」の代表『広場』 「分断文学」というジャンル 朝鮮戦争と「釈放捕虜」 南にも北にも居場所がない 批評性と抒情性溢れる『広場』 四・一九学生革命がそれを可能にした 韓国文学に表れた「選択」というテーマ 堀田善衛の『広場の孤独』 絶対支持か、決死反対か 終わらない広場 そして、日本で終わっていないものとは 第7章 朝鮮戦争は韓国文学の背骨である 文学の背骨に溶け込んだ戦争 苛烈な地上戦と「避難・虐殺・占領」 イデオロギー戦争の傷跡 朝鮮戦争を六・二五と呼ぶ理由 金聖七が見た占領下のソウル 廉想渉『驟雨』の衝撃 したたかに生き延びる人々 自粛なき戦争小説 望郷の念を描く自由がない──失郷民作家たち 韓国社会を見すえる失郷民のまなざし 子供の目がとらえた戦争──尹興吉『長雨』 戦争の中で大人になる──朴婉緒の自伝的小説 私にはこれを書く責任がある 文学史上の三十八度戦 越北・拉北文学者の悲劇 日本がもし分割されていたら パク・ミンギュも失郷民の子孫 ファン・ジョンウンの描くおばあさんたち なぜ朝鮮戦争に無関心だったのか 世界最後の休戦国 第8章 「解放空間」を生きた文学者たち 一九四五年に出現した「解放空間」 李泰俊の「解放前夜」 「親日行為」の重さ──蔡萬植「民族の罪人」 中野重治の「村の家」と「民族の罪人」 済州島四・三事件 終わりなきトラウマ──玄基栄「順伊おばさん」 趙廷來の大河小説『太白山脈』 パルチザンという人々 次世代に受け継がれる仕事 終章 ある日本の小説を読み直しながら あまりにも有名な青春小説『されど われらが日々──』 朝鮮戦争をめぐって激しく論争する高校生たち ロクタル管に映った朝鮮戦争 朝鮮戦争の記憶はどこへ 「特需」という恥 十代、二十代の目に残った朝鮮戦争 なぜ韓国の小説に惹かれるのか 傷だらけの歴史と自分を修復しながら生きる 韓国の文芸評論家が読む『されど われらが日々──』 時代の限界に全身でぶつかろうとする人々の物語 良い小説は価値ある失敗の記録 あとがき 本書関連年表 本書で取り上げた文学作品 主要参考文献
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隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ(シリーズ「あいだで考える」)
¥1,540
SOLD OUT
著者:斎藤真理子 発行元:創元社 160ページ 168mm × 130mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** いま、韓国の文学、音楽、ドラマや映画に惹かれ、その社会や言語に関心を持つ人はますます増えている。 本書では、著者が韓国語(朝鮮語)を学び始めた背景、この言語の魅力、痛みの連続である現代史と文学の役割、在日コリアンと言語のかかわりなどを、文学翻訳の豊かな経験から親しみやすく語る。文字、音、声、翻訳、沈黙など、多様な観点から言葉の表れを捉え、朝鮮半島と日本の人々のあいだを考える1冊。 【目次】 序に代えて――1杯の水正果を飲みながら 1章 말(マル) 言葉 韓国語=朝鮮語との出会い 隣の国の人々の「マル」 マルに賭ける作家たち 2章 글(クル) 文、文字 ハングルが生まれる 文字の中に思想がある マルとクルの奥にひそんでいるもの 3章 소리(ソリ) 声 豊かなソリを持つ言語 朝鮮語のソリの深さ 思いとソリ 4章 시 (シ) 詩 韓国は詩の国 植民地支配の下で書いた詩人 現代史の激痛と文学 惑星のあいだを詩が行き来する 5章 사이(サイ) あいだ 翻訳の仕事をしている場所 サイにはソリがあふれている おわりに 韓国語と日本語のあいだをもっと考えるための 作品案内
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本の栞にぶら下がる
¥1,980
SOLD OUT
著者:斎藤真理子 発行元:岩波書店 212ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 『82年生まれ、キム・ジヨン』など、数々の話題作の翻訳を手がける著者が綴った、珠玉の読書エッセイ。文学に刻まれた朝鮮と日本の歴史をたどり、埋もれた詩人や作家に光を当て、人間が疫病や戦争に向き合ってきた経験をひもとくなど、韓国文学に止まらない古今の本を取り上げながら、その普遍性を今に開く25篇。 【目次】 黄色い本のあった場所――「チボー家」と私たち 1 黄色い本のあった場所――「チボー家」と私たち 2 いぬいとみこさんのこと 結核をめぐる二つの物語――林芙美子と郷静子 多摩川沿いの工場で――「土堤」を読む 1 多摩川沿いの工場で――「土堤」を読む 2 「かるた」と「ふりかけ」――鶴見俊輔の「断片」の味 翻訳詩アンソロジーの楽しみ 杏の枝と七夕の夜――後藤郁子と茨木のり子 炭鉱町から来た人 詩人・仲村渠の路地をたどる 一九一六年、漱石と李光洙 旧正月の李箱の手紙 脱北者が読むジョージ・オーウェル 元山中学の同級生――後藤明生と李浩哲 長璋吉が描いた朝鮮語の風景 物語に吹く風 朝鮮短篇小説選 堀田善衞と「ジョー」の肖像 「やさしみ」のやりとり 森村桂という作家がいた マダム・マサコの洋裁店 編み物に向く読書 三人の女性の「敗戦日記」 中村きい子の激しさに打たれる 本の栞にぶら下がる あとがき *********************** 店主コメント *********************** 「一冊の本に他の本の記憶がぞろぞろとぶら下がり、連なり、揺れている。そんな眺めについて書こうと思う。」 著者が冒頭に綴ったこの言葉こそ読書の面白さそのものだと思います。 栞にぶら下がってくるのは他の本のタイトルだけではありません。作家の生涯や歴史的な背景、著者自身の思い出までさまざま。 本書で紹介される本は古い文学が多く、自分が触れたことのないタイトルが多かったけれど芋づる式に繰り出される話題はおもしろいほどスルスルと入り込んでくる。 文学好きには特におすすめの読書エッセイ。
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そっと 静かに(新しい韓国の文学シリーズ)
¥2,420
SOLD OUT
著者:ハン・ガン 訳者:古川綾子 発行元:クオン 192ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 「歌は翼を広げて、私たちの生の上へと滑り出す。歌がなくて、その翼で生の上へと滑空する瞬間すらもなかったら、私たちの苦しみはどれほど重さを増すだろうか」――本文より ハン・ガンが「書きたいのに、書けなかった」と回想する時期に生まれた本書には、音楽との出会い、さまざまな思い出にまつわる歌、著者自身がつくった歌について綴られている。著者の繊細な感性に触れるエッセイ集の初邦訳。 巻末にはオリジナルアルバムの音源情報も収録!
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誰もが別れる一日
¥1,870
著者:ソ・ユミ 訳者:金 みんじょん/宮里綾羽 発行元:明石書店 224ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 韓国文学界で大きな存在感を放つ作家ソ・ユミによる小説6編をまとめた待望の短編集。6 作品の主人公たちは貧困、失業、借金、離婚、夫の失踪、身近な死、母親との別れなどを経験し、以前とは違う状態に移る瞬間を経験する。変化は不可逆的で、人生は過去の自分との別れの蓄積だ。 誰にでも訪れる不安と危機の断面を解剖し、時代と社会の病を敏感に捉え平凡な人間群像を暖かく包み込む、篤実なリアリズム小説。
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ロ・ギワンに会った
¥2,200
著者:チョ・ヘジン 訳者:浅田 絵美 発行元:新泉社 224ページ 193mm × 135mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 「彼は希望を育む術と地の果てまで絶望する術を同時に鍛えなければならなかった」 脱北者の青年ロ・ギワンの足跡を辿るなかで、失意と後悔から再生していく人びとの物語。 英語版・ロシア語版も刊行された話題作 映画原作のロングセラー、日本上陸 申東曄文学賞受賞作 「命がけで国境を越え、最愛の人を失い、生きるためだけに見知らぬ国へと流れ着いたここまでの道のり。 それが何の意味もなかったことを受けいれなければならない、氷のように冷たい時間。 彼は、懐かしさだけで故郷を思い出す甘い時間は、自分には今後いっさい訪れないだろうと悟った。」 単身ブリュッセルに流れ着いた20歳の脱北者ロ・ギワン。 希望を見いだせず、自分を否定する日々を送っていた放送作家の「わたし」は、雑誌で出会ったギワンの言葉がきっかけで、彼の足跡を辿る旅に出る。 オンライン配信映画、2024年公開! 「なにものにも置き換えることのできない感情は、一度も会ったことのない他者の人生を通じてよみがえることもある。 ブリュッセルに来て、ギワンの供述書と日記を読み、彼が滞在した場所や歩いた街を辿っている間、ギワンはすでにわたしの人生に入り込んでいた。 だからこそ、今度は彼にもわたしのことを、彼自身が介入しているわたしの人生を知ってもらおう。 ギワンがわたしの人生へと歩んできた距離と同じ分、わたしもまた彼に向かって歩んでいくべきなのだ。」
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別の人
¥2,420
著者:カン・ファギル 訳者:小山内園子 発行元:エトセトラブックス 336ページ 188mm × 133mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 受け入れがたい暴力にさらされたあとも、人生は続く。 そのとき記憶は人をどう変えるのか――。 ハンギョレ文学賞受賞、韓国フェミニズム作家の先頭を走るカン・ファギル初邦訳! 30代前半のジナは、恋人から受けたデートⅮⅤをネットで告発するが、かえって彼女のほうがひどい誹謗中傷にさらされてしまう。さらに傷ついたジナは、かつて暮らした街を訪ねることに……。デビューから一貫して女性を襲う理不尽と絶望を書き続けてきた作家が、韓国でも社会問題化している性暴力被害を題材に、暴力が生まれる構造を正面から描く。
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全スケートボード史
¥4,950
著者:イアン・ボーデン 監訳:市井吉興 訳者:塩見俊一/住田翔子/豊島誠也 発行元:晶文社 380ページ 252mm × 191mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** スポーツか?カルチャーか? 60年代の誕生から現代まで、その発展を 多彩な写真とQRコード収録のビデオで辿る! スケートボードは、人生を楽しむ技芸だ。 1960年代、アメリカ西海岸のサーフカルチャーから始まったスケートボードは全世界に広まり、現在ではオリンピック種目にもなっている。建築・都市文化の専門家であり、自身も40年以上のスケーター歴をもつ著者がカルチャーやアート、都市文化に与えた影響やそのアティチュードを明らかにする。 そして誕生から60年以上にわたる歴史を、ギア、メディア、大会、都市、アティチュード……、あらゆる側面から、豊富な写真・ビデオ、スケーターたちの証言とともに辿る。 【目次】 日本語版への序文 Chapter 1 Introduction はじめに Section One Skateboard Scenes Chapter 2 Skateboards 起源 スクーターとサーフィン オールドスクール 新しいスタイルの発明 Chapter 3 Living by the Board 生き方としてのスケートボード フリークス&ギークス 狭間にあるすべて 縄張りと異国 変わりゆく男らしさ 「年齢は関係ない」 オール・ガールズ・スケート・ジャム 多文化的な実践 Chapter 4 Affiliate Worlds 契約とコマーシャル プロであること 企業とブランド 組織と管理 コンテスト・大会・オリンピック 競技の社会学 Chapter 5 Media Worlds メディア空間 ZINEから雑誌へ 広角レンズが映すもの 映画のなかのスケートボード ビデオの美学 ソーシャルメディアと配信 Section Two Skateboarding Chapter 6 Found Space スポットを探せ! アスファルトとコンクリートの波 フルパイプの永遠 発見されたプール ブルータイルへのこだわり Chapter 7 Skatopia スケートピア コンクリート製の黄金郷 木製ランプの台頭 Chapter 8 Sketepark Renaissance パークの復権 新たな夜明け 擬似的なストリート あいまいな地形 DIY パークのなかの社会 Chapter 9 Super-Architectual Space 超建築空間 身体が生み出す空間 建築を問う ダウンヒルとフロウ感覚 投影する身体、演じられるイメージ Chapter 10 Skate and Destory スケート・アンド・デストロイ ハードウェアとしての都市 零度建築 都市のリズム 都市を書くこと 街を再編集するスケーターたち 都市を語ること Chapter 11 Movement Without Words 言葉なき運動 クリティカル・シチズン 消費主義を超えて ストリートの自由 「スケートボード禁止」 スケートボード・イズ・ノット・ア・クライム Section Three Skate and Create Chapter 12 Artistry アート グラフィックデザイン 芸術としてのスケートボード 彫刻を滑る 創造性とアティテュード Chapter 13 Do It for Others 利他の精神 パブリックスペース 都市への介入 健康性 起業家精神 社会へのインパクト Chapter 14 Skateboarding – A Magnificent Life? 素晴らしき人生? 脚注 訳者あとがき *********************** 店主コメント *********************** スケートボードを構成するギア・産業・メディア・地形・アート・社会事業などあらゆる要素を包括的に取り上げ、それぞれを集中的に研究・考察したスケートボード文化史。 各要素を3つのセクションに大別して論じており、通史のように直線的な構成内容ではないので興味のあるテーマから読むことができます。また、随所に掲載されているQRコードからYouTubeチャンネルにアクセスすることでショートビデオクリップを閲覧することもできます。 オリンピック競技に認定されて以来、スポーツとして身近になったスケートボード。 この本を読めば、スケートボードというスポーツあるいはカルチャーのわずかな側面しか見ていなかったことに気付かされるのではないでしょうか。
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映像のポエジア 刻印された時間(ちくま学芸文庫)
¥1,650
著者:アンドレイ・タルコフスキー 訳者:鴻英良 発行元:筑摩書房 416ページ 文庫判 148mm × 105mm *********************** 出版社紹介文より *********************** 『惑星ソラリス』『鏡』『ノスタルジア』『サクリファイス』……。 透徹した精神性と至高の映像美で、独自の映画世界を作り上げたタルコフスキー(1932-1986)。死去するまでの20年間、彼は映画をめぐる思索を膨大に書き残していた。内面へ深く沈潜しつつ、時に自作を、時にブレッソン、ベルイマン、黒澤ら外国人監督を論じていく。 本書は、訳者がタルコフスキー夫人ラリサ(1938-1998)から送られたタイプ原稿を基に訳出された、日本オリジナル版である(同時期に、ドイツ語版・英語版も出る。当時のソ連ではタルコフスキーは著作を公刊できなかった)。映画を超えて、芸術そのものに関心を持つすべての人に届けたい名著。 【目次】 序章 第1章 はじまり 第2章 芸術―理想への郷愁 第3章 刻印された時間 第4章 使命と宿命 第5章 映像について 第6章 作家は観客を探究する 第7章 芸術家の責任 第8章 『ノスタルジア』のあとで 第9章 『サクリファイス』 終章
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ホラー映画の科学 悪夢を焚きつけるもの
¥2,750
著者:ニーナ・ネセス 訳者:五十嵐加奈子 発行元:フィルムアート社 352ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** ホラー映画を見るとき、私たちの脳・心・身体で何が起こっているのか? モンスター、暴力、トラウマ、音……さまざまな切り口から、脳科学や心理学で〈恐怖〉のしくみを解き明かす もっと眠れなくなること必至の、ホラー映画×科学の世界! 私たちはなぜ、ホラー映画という〝悪夢の燃料〟を求めるのか? 私たちの脳や身体はホラー映画の何に恐怖を感じ、どのように反応するのか? 本書では、科学コミュニケーターとして活動する著者が多彩なホラー映画を例に、人が恐怖を感じ、脅威に対処するメカニズムを紹介。脳科学・心理学・神経科学・生物学の知見から、〈恐怖〉のさまざまな側面を明らかにする。 登場する映画は、『サイコ』『エクソシスト』など古典的名作から、『ヘレディタリー/継承』『アス』『クワイエット・プレイス』など現代のヒット作まで約300本。サイコ、SF、スラッシャー、スプラッター、クリーチャー、オカルトなどのサブジャンルを縦横無尽に扱いながら、ホラー映画の歴史もおさらい。いかに映画における〈恐怖〉が作り出されてきたのか、そして私たち観客はいかにそれを受け取るのかに迫る。 各章には、ひとつの作品を掘り下げるコラムと、映画の製作者や研究者へのインタビューも収録。尽きることのないホラーの魅力を存分に楽しめること間違いなし。 【目次】 はじめに ホラーを定義する難しさ 第一章 恐怖を感じると、脳はこうなる 脅威 ジャンプスケア 【注目作品】『キャット・ピープル』(42/ジャック・ターナー監督) 嫌悪感 映画で見る恐怖 【注目作品】『ヘレディタリー/継承』(18/アリ・アスター監督) 【インタビュー】ジェイミー・カークパトリック(映画編集者) 第二章 ホラー映画の歴史 静かな恐怖 初期のホラー映画(1890年代頃‐1920年代初頭) 全盛には至らない時期(1920年代‐30年代) 原子力の登場(1940年代‐50年代) 他人という悪魔(1960年代) 暴力的な結末(1960年代後半‐70年代) 【注目作品】『暗闇にベルが鳴る』(74/ボブ・クラーク監督) スラッシャー、悪魔系パニック、ビデオ・ナスティ(1980年代) ホラー映画の……低迷?(1990年代) 新たなミレニアムに向けたホラー映画(2000年代) 現在のホラー映画と今後の展望(2010年代以降) 【インタビュー】アレクサンドラ・ウェスト(映画研究者) 第三章 モンスターの作り方 【注目作品】『遊星からの物体』(82/ジョン・カーペンター監督) 捕食者としてのモンスター 【注目作品】『エイリアン』(79/リドリー・スコット監督) 人間(または人間のような)モンスター 永遠のモンスター 第四章 耳からの恐怖 【注目作品】『クワイエット・プレイス』(18/ジョン・クラシンスキー監督) 不協和音 人の可聴域ぎりぎりの音 【注目作品】『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(99/ダニエル・マイリック、エドゥアルド・サンチェス監督) 叫び 【インタビュー】ローネン・ランダ(映画音楽作曲家) 第五章 恐怖が付きまとう理由 【注目作品】『ジョーズ』(75/スティーヴン・スピルバーグ監督) 人はどのように恐怖を抱きはじめるのか? 【注目作品】『鮮血の美学』(72/ウェス・クレイヴン監督) どうすれば恐怖心がなくなるか? 【インタビュー】メアリー・ベス・マッカンドリューズ(ホラー・ジャーナリスト)&テリー・メスナード(クリエイター) 第六章 暴力的メディアと暴力行為 【注目作品】『チャイルド・プレイ3』(91/ジャック・ベンダー監督) 誰か、子どもたちのことを考えてくれませんか? 感度の低下 ホラー映画はより暴力的になっているのか? 第七章 血、ゴア、ボディホラー 身体の内側からの暴力 身体の外側からの暴力 見えない場面 血みどろなほどいいのか? 【注目作品】『サスペリアPART2』(75/ダリオ・アルジェント監督) 目にまつわる恐怖 【インタビュー】ジョン・フォーセット(映画監督) 第八章 ホラーの変わらぬ魅力 万人のためのホラー ホラー愛は遺伝するのか? 刺激欲求 カタルシス説 恐怖に寄り添う 【インタビュー】アレクサンドラ・ヘラー=ニコラス(映画評論家) あとがき 謝辞 訳者あとがき
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ダンプ松本『ザ・ヒール』
¥1,540
著者:平塚雅人 発行元:小学館 183ページ 193mm × 135mm ハードカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 1980年代、全日本女子プロレスでデビューし、極悪同盟を率いて、クラッシュギャルズとの抗争を繰り広げたダンプ松本。今だから話せる当時の裏話や、本人が抱えてきた心の葛藤や父親への思い。現在からは想像もつかない程の過酷な状況下で、彼女が何を思って過ごしてきたのか。そんな熱くひたむきな思いが伝わってくる一冊です。 【目次】 第1章 1960年、松本香誕生 第2章 母の家出と父との確執 第3章 夢の『スター誕生!』応募 第4章 1975年、大宮開成高校アーチェリー部入部 第5章 1979年、憧れの全日本女子プロレス入門 第6章 1980年、悲願のプロレスデビュー 第7章 過酷な先輩たちのいじめ 第8章 しごきとディスコ初体験 第9章 1984年、極悪同盟結成 第10章 激化するクラッシュギャルズとの抗争 第11章 疲弊する心、加熱する女子プロレスブーム 第12章 1988年、全女引退 第13章 1988年、芸能界進出 第14章 殺意を抱いていた父の死 最終章 2020年、女子史上初の還暦現役レスラー
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神秘的じゃない女たち
¥2,200
著者:イム・ゾヨン 訳者:オ・ヨンア 発行元:柏書房 206ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 受精は、能動的な精子が受動的な卵子を捕獲する過程ではない。 卵子凍結はあるのに、男性のための精子凍結がないのはなぜ? アシスタントロボットが「女型」である理由とは? 本書は、かつて科学者になる夢をあきらめた著者が、フェミニズムと科学技術社会論に出合い、憎んでいた科学と「和解」し、女性の観点から科学を見つめ、科学の観点から女性の体と経験を理解しようとした思索の軌跡をまとめたものだ。 “私は、科学と分かり合えなかった経験のある人たち、そのせいで科学の本にはなかなか手が伸びないという読者を思い浮かべながら本書を執筆した。ほかでもない、私がそういう人間だったからだ。”(「はじめに」より) 本書の探究は、「子どものような純粋無垢な好奇心」からばかり出発するわけではない。その出発点は、卵子凍結について悩むことかもしれないし、高校を卒業してすぐに受けた二重手術かもしれない。うつ病になること、摂食障害になること、妊娠とキャリアについて考えること、無責任な父親について考えること、かもしれない。さまざまな要素が混ざり合う、複雑な個人の暮らしから、本書は話を始めていく。 客観的で普遍的で価値中立的であることを装いつつ、じつのところ女性について無知だった科学にかけられた「呪い」を解き、「よき友」として付き合っていくためのエッセイ集だ。同時に、理系への進学を検討している学生や、その子らを見守る大人たちにもおすすめしたい。 “科学が本当の意味で変化するためには、賢い女子学生ではなく、平凡な女子学生こそもっと必要なのだ。(…)科学者や工学者になりたいという女の子や青少年が周囲にいたら、めいっぱい励ましてあげてほしい。(…)「実力さえあれば女でもなんだってできる」といった言葉の代わりに、「今までそこそこしか勉強してない男子学生だって科学者になれたし、科学界の80%に所属できているんだよ」と付け加えてあげてほしい。”(「おわりに」より) 【目次】 はじめに 神秘的じゃないすべての人のために 1章 性染色体は存在しない 2章 女と男がモザイクになった脳 3章 腸は考える 4章 神秘的じゃない妊娠のために 5章 父親の役割に注目せよ 6章 卵子凍結をめぐる問題 7章 差別をしないAIをつくる 8章 アシスタントロボットは女性だという錯覚 9章 進化論と和解する方法 10章 フェミニズム物理学の挑戦 11章 21世紀サイボーグの現状 12章 アントロポセンの危機に立ち向かって おわりに 思い通りにならなかった私の人生から始まる科学技術 感謝のことば 訳者あとがき 参考文献
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恋愛の哲学
¥1,760
著者:戸谷洋志 発行元:晶文社 236ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 哲学は「恋愛」を語ることから始まった。 クズへの愛はなぜ成立するのか? なぜ私は愛されたいのか? 永遠の愛はどこまで続くのか? ――すべて哲学が答えます。 現代に流れる「ロマンティック・ラブ」の幻想を解体する驚愕の哲学入門!!! 紹介するのは、プラトン、デカルト、ヘーゲル、キルケゴール、サルトル、ボーヴォワール、レヴィナスの七人。彼らはそれぞれが違った仕方で人間と世界の関係を捉え、その人間観の中で恋愛(哲学)を論じている。恋愛とは何かを考えることは、そもそも人間とは何かを問い直すことを要求する。本書ではそれらを全体として再構成することで<恋愛>を広い視野の元で捉え直していく。 【目次】 はじめに 第1章 なぜ誰かを愛するのか?――プラトン 第2章 なぜ恋愛に執着するのか?――デカルト 第3章 なぜ恋人に愛されたいのか?――ヘーゲル 第4章 永遠の愛とは何か?――キルケゴール 第5章 なぜ恋愛は挫折するのか?――サルトル 第6章 女性にとって恋愛とは何か?――ボーヴォワール 第7章 なぜ恋人と分かり合えないのか?――レヴィナス おわりに *********************** 店主コメント *********************** 結婚へ至る過程こそが恋愛だとする「ロマンティック・ラブ」という恋愛観が、世の中では当たり前になっています。しかし、本書ではロマンティック・ラブを絶対的なものとはせず、恋愛を広い視野で捉えなおすことで豊かな関係性として理解しようとしています。 7人の哲学者の恋愛論を章ごとに紹介し、それぞれの哲学に沿った恋愛観を展開。随所で引用されている哲学者たちの難解な言葉も、著者が噛み砕いて解説してくれるので難なく読み進めることができると思います。 登場する哲学者は、プラトンやデカルト、ヘーゲルなど哲学界の大御所が中心。巻末の引用文献一覧も、哲学書の定番と言えるタイトルが並んでいるので哲学の入門書としてもオススメです。
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第一芸人文芸部 創刊準備二号
¥1,500
SOLD OUT
編集長:又吉直樹 編集部員:ピストジャム/ファビアン 発行元:ヨシモトブックス 284ページ 173mm × 108mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 又吉直樹率いる「第一芸人文芸部」のメンバーが集まり、又吉自身が編集長を務める文芸誌の創刊準備二号。執筆陣に前号の又吉、ピストジャム、ファビアンに加え、アキナ・山名、フルーツポンチ・村上、トニーフランク、赤嶺総理が参加している。 小説、書評、俳句、エッセイ、短詩など個性豊かな作品を収録。全284ページにもおよぶボリュームたっぷりの仕上がりになっている。 【目次】 ●月の裏側 又吉直樹 ●書評 ピストジャム ●ハチマキ 山名文和 ●俳句と散文 村上健志 ●ショートショートレストラン ファビアン ●歌詞とエッセイ トニーフランク ●分岐文 赤嶺総理
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第一芸人文芸部 創刊準備号
¥1,000
SOLD OUT
編集長:又吉直樹 編集部員:ピストジャム/ファビアン 発行元:ヨシモトブックス 130ページ 173mm × 108mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** ピース・又吉直樹が率いる文学好き芸人が集う第一芸人文芸部。 そのメンバーが編集し、執筆する“遊び心と情熱の文芸誌”が誕生。「㐧一芸人文芸部」創刊準備号には、編集長の又吉が自由律俳句とエッセイ9本、部員のピストジャムが書評10本、ファビアンがショートショート5本を書き下ろした。又吉が芸人と文学について綴る編集後記も必読。全132ページにわたり、芸人と文学が遭逢する。 【目次】 ●自由律俳句とエッセイ 又吉直樹 ●書評 ピストジャム 「同志少女よ、銃を撃て」(逢坂冬馬) 「この部屋から東京タワーは永遠に見えない(麻布競馬場) 「あこがれ」(川上未映子) 「人間」(又吉直樹) 「月と散文」(又吉直樹) 「口訳 古事記」(町田康) 「ノルウェイの森」(村上春樹) 「限りなく透明に近いブルー」(村上龍) 「はーばーらいと」(吉本ばなな) 「三体」(劉慈欣) ●ショートショート ファビアン 「地球のねじ」 「オキノピ」 「マイナンバー」 「村の遺酒屋」 「ハンドメイド・ウエディング」
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長電話
¥3,080
著者:高橋悠治/坂本龍一 発行元:バリューブックス・パブリッシング 225ページ 188mm × 128mm 仮フランス装 *********************** 出版社紹介文より *********************** 『長電話』は、1984年に坂本龍一主宰の出版社《本本堂》から最初に出版された、 作曲家・ピアニストの高橋悠治と坂本龍一の対話を収録した一冊です。 長電話で語られる内容は音楽や芸術の枠を超え、多岐に渡り、二人の軽妙な会話から飛び出す言葉の数々は大きな示唆に富むものでした。事実、この本は“長電話“という手法も含め、多くのアーティストに影響を与えることとなり、絶版である今で は幻の名著と呼ばれるに至っています。
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小さい午餐
¥2,200
著者:小山田浩子 発行元:twililight 272ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 広島在住の芥川賞作家・小山田浩子の初めての食エッセイ集。 自宅で小説を書いている小山田さんが外でお昼を食べるという小さい冒険、非日常について書いたエッセイです。 “誰だってお昼を食べるし、その場所は自由に決めていい” 見たこと感じたことを書いていくうちにどんどん虚実が混ざって、 エッセイでありながら私小説でもあり、でも、確かに体感したこと。 “誰もがハッピーなアワーを過ごす権利がある、 それを忘れないようにする。 ちょっと酔っている、でもまだ普通に歩ける。” “暗くなったり考えこんだり泣けたり、調子に乗って失敗したりもする 日々ですが、お昼ご飯がある程度おいしく楽しく食べられたらありがたい、 大丈夫だ、と感じます。どこで生まれても、暮らしていても、誰もが食べたい ようにお昼ご飯を食べられる世界であるよう、強く願っています。” 装画は塩川いづみ。 【目次】 まえがき 居酒屋の日替わり定食 ラーメン店のラーメン 喫茶店の天丼 カフェの野菜チキンサンド 喫茶店の豚しゃぶサンド 2度目のラーメン とんかつ店のロース定食 別府冷麺 町中華の中華丼 東京駅であんみつ タピオカ屋のタピオカ ブライアントパークでピタサンド 回転寿司の寿司 ラーメン店のラーメンライス イギリスでサンドイッチと機内食 ディストピア、ブリトーとビーフンとピザ お肉の弁当 ラーメン屋の肉野菜炒め麺 スタッフによるビュッフェ 中華の黄ニラ 山の公園の麺類 呉のクリームパイ 喧嘩つけ麺 広島のお好み焼き 思い出の汁なし坦々麺 ファミレスのハッピーアワー
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歌集 宇宙時刻
¥2,200
著者:小関茂 発行元:点滅社 179ページ 188mm × 136mm ハードカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 昭和期に活動していた謎多き口語自由律の歌人、小関茂。 彼が生前に遺した、諦念とニヒリズムに満ちた不思議な魅力を放つふたつの歌集をひとつにまとめて復刻。 栞(小冊子)付き、執筆者はphaさん、東直子さん、町田康さん。 【代表歌】 風が飛んでくる、風を裂いてゆけば、森の上のコンクリートタワー 自分がちっぽけにちっぽけになって歩いてるいちめんの麦の芽の中を なんといふたのしさだ、なんといふさびしさだ、なんといふ長い橋だ にんげんが原っぱの中から出てきたよ、みんなすゝき持ってこっち見たよ こんなことが、こんなことが、生きていることだったんだ。こんなことが 笑った。むざんにも笑った。弁解しないために俺は笑った 俺は俺に唾を吐きかけた。だがやっぱり俺を抱きしめていた 俺はあぶなく茶碗をわるとこだったので、窓から茶をぶちまけた ヨーヨーをやってみた。誰も満足に出来ないのでみんなそれで満足した 橋のむこうを見ていたが、そうだ、幾年も俺はふせぐことばかり考えてきた ひとりでに頭を低れ、だれにとも知らず、ただゆるされたいとねがう おまえそれは何かを捧げ尽くそうとして捧げきれなかった悲しみなのか 一人の俺は野垂れ死んで夜通し唄っていたばかの方は生きてるらしいな 夢も見ずに眠れるんだからそりゃたしかに悪はしてないんだね 三年間食うや食わずでためたのに殖産金庫でフイでさと豆腐やは笑う おやここにも腰ぬけ人生よしなよ坊やと手をふる親父もインテリか 意味もなく一本のマッチ燃えるまで見ているというそれだけのこと 愛とか恋とか生活とかいってもしょせんは餌と子孫のための五十年です 猫にもノイローゼがありまして家の餌よりはごみためが好きなんです こんな夜も人工衛星は回っているのねうん彼も自然の一部になったからね 煙草の火をじっと凝視めることもある人が見てなきゃ硝子ぐらい割るさ
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死のやわらかい
¥1,650
著者:鳥さんの瞼 発行元:点滅社 96ページ 195mm × 125mm ハードカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 死」を誰よりも愛し、向き合い、見つめ続ける歌人の第一歌集。 【収録歌より】 巻き貝のなかを明るくするように母は美大はむりよと言った 会うことのなかった四羽の心臓が一つに刺されて完成している 死ぬことが悲しいだけでなかったこと 落ちて初めて燃ゆ流れ星 【栞(小冊子16p)】 林あまり『若草の香り』 岡本真帆『「むりよ」が連れてきた明るさ』 東直子『命に旗を立てる』 【装丁】名久井直子 「……心をつくして死と向かい合い、命をかみしめ、生きていることを味わう。いつか必ずやってくる死をゆっくり受け入れるための心の器としての歌なのだろう。」 東直子(栞文より) 【目次】 鳥 棺 速度たち 虹 心の理論 貝殻 乱暴さについて 優しさについて 遅れる 行き先はたいてい二つ し 電子レンジ 皮膚 提供 容易にエンジェル 食べものは 大丈夫 流れ星 やばピ もう来ない友人 ケージ 安らぎがあってほしい てのひら メランコリア 少し暖かい曇りの日 夜のぬるい いつか 憶えていないものたち
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アーのようなカー 新鋭短歌シリーズ46
¥1,870
著者:寺井奈緒美 監修:東直子 発行元:書肆侃侃房 144ページ 188mm × 128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 生活のあらゆる隙間にユーモアを詰める。 (いとうせいこう) この世のいとおしい凸凹 どこまでも平らな心で見つけてきた、景色の横顔。 面白くて、美しくて、悲しくて、ほんのり明るい。 (東 直子) 【著者プロフィール】 寺井奈緒美(てらい・なおみ) ホノルル生まれ、愛知育ち、東京在住。 趣味は粘土で縁起のよい人形をつくること。 【5首】 改札を通るときだけ鳴く鳥をだれもが一羽手懐けている 柴犬の尻尾くるんの真ん中の穴から見える極楽浄土 耳と耳あわせ孤独を聴くように深夜のバスの窓にもたれて 路上にはネギが一本落ちていて冬の尊さとして立て掛ける なくなれば美しくなる でもぼくは電線越しの空が好きです
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うたたねの地図 百年の夏休み
¥1,980
著者:岡野大嗣 発行元:実業之日本社 156ページ 180mm × 113mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** “どこにでもある眺めとここにしかない眺めが交錯する” これまで取りこぼしてきた日々の感情を忘れないために短歌を詠む、人気歌人・岡野大嗣さん初の短歌×散文集です。 さまざまな場所をテーマに、 短歌を詠むときのまなざしから生まれた散文とたね(短歌が出来上がる前のメモ)、150首の短歌をもとに、〈夏のとある街〉を作りました。 今まさにその場所にいるような、その場所とつながっているような感覚になれる新しい本。 さまざまな場所と出合いなおすことで、 短歌と散文、感情が響き合って、懐かしさとともに新しい風景があふれだします。 ぜひ、短歌の世界と歌人のまなざしを追体験しながら うたとたねをヒントに、夏のとある街の地図を心に描いてお楽しみください。
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スペクテイター vol.53 1976 サブカルチャー大爆発
¥1,100
発行元:エディトリアル・デパートメント 発売元:幻冬舎 183ページ 242mm × 182mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** 「政治の季節」と呼ばれる1960年代とバブル経済へ突入していった1980年代に挟まれて、まるでなにも起こらなかったかのように思われがちな、1970年代。 しかし、大人たちの目の届かない若者たちの世界では、文化的な爆発と呼ぶべき重要な出来事が起きていた。オカルト、アニメ、パンク、自己教育…。 4つのサブカルチャー誕生の瞬間に立ち会ったリトルマガジン関係者の証言や論考を通じて、1976年に起こったサブカルチャー大爆発の実情に迫る。 【目次】 ◆PLAY BACK 1976 作画/関根美有 ◆クロニクルズ 70年代の主な出来事 ◆論考 アナザー・スピリッツ・オブ・76 〝76年精神〟とはなにか 文/宇田川岳夫 ◆インタビュー① 氷川竜介氏(アニメ・特撮評論)に聞く『宇宙戦艦ヤマト』とファンダム形成史 取材・構成/鴇田義晴 ◆インタビュー② 武田崇元氏(八幡書店社主)に聞く『地球ロマン』とジャパニーズ・オカルト再発見 取材・構成/宇田川岳夫 ◆NIPPON 70S 写真/児玉房子 ◆寄稿① 『ロック・マガジン』にみるパンクの日本上陸 文/東瀬戸悟 写真提供/阿木譲アーカイブ・開田裕治 ◆寄稿② 自己教育の教科書として創刊された『別冊宝島』 文/長沼行太郎 ◆まんが「夜の魂」 作/まどの一哉 ◆はみだし偉人伝 その4 水谷孝 裸のラリーズと「死」 文/横戸茂 写真/中藤毅彦
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又吉直樹マガジン 椅子
¥1,018
SOLD OUT
編集長:又吉直樹 編集:浅井茉莉子/森山裕之 発行元:ヨシモトブックス 64ページ 257mm × 181mm *********************** 出版社紹介文より *********************** 又吉直樹が初めて編集長を務める雑誌『又吉直樹マガジン 椅子』。 椅子が好きだという又吉が、様々な視点で「椅子」を切り取る企画を立案・ディレクションした。同誌では相方の綾部祐二をはじめ、吉岡里帆、柄本明、壇蜜が街中で椅子と絡む様子を捉えたグラビアや、又吉との座談会を収録。さ らに又吉が原稿用紙20枚に椅子にまつわる思い出を綴った書き下ろしのエッセイ『椅子をめぐる自叙伝』、又吉が考案した理想の椅子を制作するルポ、大橋裕之による漫画などが全64ページにわたって収められる。寄稿者には苫野一徳、せきしろ、西木ファビアン、赤嶺総理、難波麻人も名を連ねる。 グラビア・座談 又吉直樹/吉岡里帆/柄本明/壇蜜/綾部祐二 寄稿 又吉直樹/苫野一徳/せきしろ/西木ファビアン/赤嶺総理/難波麻人 詞 世田谷ピンポンズ 漫画 大橋裕之
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日本の人種主義 トランスナショナルな視点からの入門書
¥1,980
SOLD OUT
著者:河合優子 発行元:青弓社 256ページ 188mm ×128mm ソフトカバー *********************** 出版社紹介文より *********************** アメリカでの黒人への暴力事件と抗議運動、ヨーロッパでの移民排斥、コロナ禍におけるアジア人への差別などがクローズアップされ、海外の問題と思われがちな人種主義や人種差別だが、日本でも歴史的に、そして現在でも深刻な問題であり続けている。 欧米の人種概念と人種主義の歴史的・社会的な背景、基本的な知識を押さえたうえで、日本の人種概念を捉え直し、近代から現代まで、日本で人種主義が展開してきた足跡をたどりながら、トランスナショナルな視点から日本の人種主義の特徴を整理する。そして、アジア地域の植民地支配をはじめとする日本の歴史的背景や「日本人とは誰か」という問いと結び付きながら、日本社会に意識的・無意識的に根づいている人種主義の現状を具体的な事例をもとに明らかにする。差別、偏見とステレオタイプ、アイデンティティなどの視点から、個人の日常的な意識や振る舞いに人種主義が否応なく結び付いていることも浮き彫りにする。 国際的・領域横断的に蓄積されてきた人種主義に関する議論をまとめ、「私たちの問題」として日本の人種主義を考える視点を提供する入門書。 【目次】 はじめに 第1章 欧米の人種概念 1 人種の概念化 2 人種と科学 3 人種からエスニシティへ 4 人種、エスニシティ、ネイション 第2章 日本の人種概念 1 人種の登場 2 民族とフォルク 3 人種から民族へ 4 民族から「日本人」へ――単一民族神話の定着 5 一九九〇年代以降の「日本人」 第3章 人種混淆 1 二十世紀初頭までの欧米の議論 2 中南米の人種混淆 3 二十世紀以降の欧米の議論 4 戦前日本の議論 5 戦後日本の議論 6 一九六〇年代以降の日本の議論 第4章 多様な人種主義 1 生物的・科学的人種主義から文化的人種主義へ 2 制度的人種主義と人種なき人種主義 3 戦前日本の人種主義 4 戦後日本の人種主義――イデオロギー的側面 5 戦後日本の人種主義――構造的側面 第5章 差別 1 差別とは 2 日常の人種主義、マイクロアグレッション、人種主義の否認 3 交差(インターセクショナリティ) 第6章 偏見とステレオタイプ 1 偏見の捉え方の変遷 2 偏見としての人種主義 3 ステレオタイプの二つの特徴 4 イデオロギーとしてのステレオタイプ 第7章 アイデンティティ 1 自己と他者 2 マイノリティとアイデンティティ 3 アイデンティティと言説 4 マジョリティ性 人種主義に関する用語一覧 おわりに